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第29話 北斗

北斗は本棚を見上げていた 北斗の部屋には壁に大きな本棚が誂えてあった 北斗の背丈の本棚には本が所狭しと埋まっていた 父さん(一生)が北斗の背丈に合わせて並べてくれるのだ 足が悪いからハシゴは使わせたくないから…… 北斗の背丈合わせて本を並べてくれるのだ 父さんは優しい 優しすぎる…… 転ぶと……抱き上げて抱き締めてくれる 「辛かったら言え…… 俺で出来る事ならしてやるからな……」 父さんの口癖だった 添い寝して寝かせてくれていた…… それを断ったのは北斗だった 父さんを苦しめたくないのだ…… この優しい人を… 苦しめたくない 父さんは大好きだ…… 生まれて来た時に……接してくれた人間とは違うから…… 罪を背負って生まれた自覚はある…… だから僕の体躯は…… 人と違うんだ だから………苦しまないで……父さん 北斗は本が大好きだった だって……本を読んでいる間は…… 僕は何にだってなれるんだもん…… そんな僕に…瑛太叔父ちゃんは…… 「北斗、御本です」 と買ってくれる 最近は会社の人がくれるのだと言って本をくれる 「北斗、会社の人が本をくれました…… 好きなのでなかったら捨てなさい……」 そう言い瑛太叔父ちゃんは本をくれる 本棚には瑛太叔父ちゃんがくれた本が……一杯並んでいた 康太ちゃんは「図書館を開く気かよ…」と笑っている 父さんは僕の本を嬉しそうに、本棚に並べてくれる 僕は……こんなに大切にされて良いのかな…… 不安になる…… 不安になって……泣きそうになる そしたら父さんが必ず抱き締めてくれるんだ 僕が学校で倒れるたびに迎えに来てくれる 「………ごめんね……父さん…」 謝ると父さんは 「気にすんな! 北斗は何も悪い事はしていねぇんだからよぉ!」 と、僕の脚を撫でてくれる 「………僕の足……役に立たないね……」 「そんな事はねぇ! 北斗は少しハンデがあるだけだ! お前はその分優しい心を持っている 馬の気持ちが解るだろ? だから北斗は少しだけ不自由してるんだ……」 「………僕……邪魔じゃない?」 父さんは僕の頭を撫でて 「そんな事……康太に言ってみろ……殴られるぞ」 父さんは楽しそうに笑うんだ 父さんは本当に……康太ちゃんが好きなんだね 「北斗、おめぇは父さんの自慢の息子だ! 血は繋がってねぇけどな…… 北斗は知ってるんだろ? 俺と血が繋がってねぇけ事を……」 「……知ってるよ 僕は産まれる前から覚えている 二人に分かれたけど……記憶は全部在るよ」 「血じゃねぇ! 過ごしている日々の絆だ… 俺はおめぇを本当の息子だと想ってる」 「父さん……」 北斗は泣いた こんな言葉をサラッと言ってくれるのは…… 父さんしかないよ 父さんの自慢の息子でいたいんだ…… 一生は北斗を抱き寄せた 「少しは歩ける様になる… お前に痛い想いをさせるけどな……夏にはオペに踏み切る ずっと傍にいるから心配するな……」 「……父さん……」 僕の父さんは貴方しかいない 父さん……僕は貴方が大好きです

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