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第31話 お花

保育園のベランダにはお花が沢山植えてある 流生はそのお花を見るのが好きだった お花の匂いを嗅いで幸せな気分になる 「流生君はお花大好きね」 保母さんに話し掛けられると、流生は頷いた 「かぁちゃ あげゆの」 あのお花を、大好きなかぁちゃにあげたいと、何時も想ってた かぁちゃ 喜んでくれるかな? かぁちゃ 撫で撫でしてくれるかな? 流生はそんな事ばかり考えていた とぅちゃにもお花  そしたら撫で撫でしてくれるかな? 喜んでくれるかな? 保母さんがチューリップを1本摘み取ると流生に渡した 「はい!流生君」 流生は貰った花を嬉しそうに掴んだ そして「あいがと」とお礼を言った 流生はお迎えが来るまでチューリップを握り締めていた 玲香と京香がお迎えに来て家に帰っても、チューリップは離さなかった 元気がなくなりクタッとなっていくチューリップを見て 流生は泣き出した かぁちゃにあげたいのに…… とぅちゃにもあげたいのに…… 泣きじゃくる流生を音弥が抱き締めた 「りゅーちゃ……」 音弥は泣き出していた 大空も「りゅーちゃ」と流生を抱き締めた 太陽も翔も流生の周りに集まり抱き締める 悲しい時も 嬉しい時も 5人は何時も一緒 そこへ康太が帰って来た 「流生、あに泣いてんだよ?」 優しく涙を拭われて、流生は手の中のクタッとしたチューリップをかぁちゃに渡した 「……ん!」と言い渡されたチューリップを康太は受け取った 「かぁちゃにかよ?」 康太が聞くと流生は頷いた とぅちゃが傍にやって来て、流生の頭を撫でてくれた 流生はとぅちゃに手を伸ばして泣いた 康太はクタッとなったチューリップを水の入ったコップに入れた 「……元気になるかな?」 康太が言うと慎一はチューリップの茎を少し焼いて戻した 「水揚げしたら少しは元気になります 花瓶に入れておきます」 「ありがとう慎一」 「流生のプレゼントですからね! 心して元気にして見せます」 康太は榊原から流生を受け取った そして5人一緒にして抱き締めた 「とぅちゃとかぁちゃの宝だ! 愛してる…」 かぁちゃの優しい腕に抱かれて……5人はかぁちゃに縋り付いた そして泣き疲れて寝るまで離れなかった 優しい子に育った 「………優しいな……オレの子は……」 「皆、かぁちゃが好きなんですよ」 「オレは我が子が可愛い 血は繋がってねぇけどな…… オレの子供だ……ぜってぇに……離さねぇ……」 「僕達の子供です 誰にも離さなくて良い…… 僕達の愛です……この子達は…」 榊原は康太と我が子を抱き締めた 音弥は「かぁちゃ」と言い康太に抱き着いた 翔は「とぅちゃ」と言い榊原に抱き着いた そして翔と音弥は、榊原と康太を抱き締めて 「にゃかよち!」と言った この子達が愛しい 血の繋がりより… 日々の暮らしと絆を強めたら…… 親以上になれるのかな? 誰よりも……愛したら…… 親以上になれるのかな… この夜、子供達はとぅちゃとかぁちゃのベッドの上でねんねした とぅちゃとかぁちゃに抱き締められ眠りに落ちた かぁちゃ……おはにゃあげゆ 流生は笑っていた 翌朝、流生の持ってきたチューリップはピンッと生き返って花を咲かせていた 流生の想いが伝わったのかの様な奇麗なピンクの花を咲かせていた

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