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第39話 太陽(ひなた)

太陽は皆が大好きだった かぁちゃもとぅちゃも兄弟も ばぁちゃもじぃちゃ ばぁたんもじぃたんも大好き でも一番好きなのは大空だった 大空とは細胞レベルで会話が出来た 何も言わなくても大空とは分かり合える 流生は何時も傍にいてくれる 音弥は何時も異変に気付いてくれる 翔は傍にいるだけで安心できた 「きゃな」と言えば 「ちな」と返ってる 大空は大切な存在だった なのに…… 最近の大空はつまらなそうな顔ばかり 「きゃな…」 と言っても無視ばかり…… 悲しかった 何時も一緒なのに…… 「……おとたん…」 「ちなたん」 音弥は優しい お歌を歌ってくれる お絵かきしてくれる そして何時も抱きしめてくれる 「ちなたん、らいちゅき」 「おとたん……ちゅき」 音弥に抱き着く 翔は何も言わず傍にいてくれる 寡黙な翔は無駄口は言わなかった 修行に入り、何時も泣きながら……堪えてる 翔は偉い 尊敬する 「かけゆ……ちゅらい?」 太陽が聞くと翔は何時も笑顔で答える 「らいじょうぶ」 翔は心配掛けまいと太陽を抱き締めた かぁちゃは厳しい 翔には特に厳しい 時々、翔を庇うと 「ひな、どけ!」 と怒る 翔は堪えて、かぁちゃに向く 「翔、見るな 見なくてもお前には見える筈だ」 源右衛門が康太に言い続けた台詞 それを翔に言う そんな時のかぁちゃの顔は…… 辛そうで太陽は泣きたくなる それでも目を背けずに…… 兄弟は翔と修行を共にした 辛い事も 苦しい事も 楽しい事も 嬉しい事も 5人は何時も一緒 太陽は堪える 泣きたいのを堪えて翔を応援する 「かけゆ!ぎゃんびゃれ」 泣きながら言う 翔…… 翔…… かぁちゃに殴られて…… 翔が吹っ飛ぶ すると太陽は堪えきれなくなり…… 翔の前に出た 「ひな、どけ!」 かぁちゃは怒る 「……やら!」 翔を守りたかったのだ 翔は立ち上がり太陽の前に立った 「ちな、らいじょうぶ」 倒れても 倒れても 翔は泣かない その分……太陽が泣いた かけゆ…… ちな……ちょばにいる…… 太陽は何時も翔の傍にいた

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