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第48話 慎一は朝から忙しい‥

朝早く榊原伊織から電話が入った 「すみません…… 寝ていましたか?」 「いえ、起きてます 貴方達の寝室にいます 着替えの電話が来ると思って支度をしています」 予測通りで……慎一は苦笑した だが主が幸せなら……それで良い 慎一は榊原から寝室の鍵を渡されていた 榊原に変わって慎一に頼まねばならない時に動いてもらう為だ 「私服で構いませんか?」 「ええ。適当に見繕って持って来て下さい あ………それから下着も……頼みます」 榊原は恥ずかしそうに……言った 「二人分ちゃんと用意しました 何時頃、部屋に伺えば宜しいですか?」 「これから康太を起こして支度をします 一時間後にホテルニューグランドの最上階のエレベーターで上がって直ぐ、左の突き当たりの部屋にお願いします」 「解りました!一時間後に持って行きます」 慎一は電話を切った 主と伴侶の下着と私服を鞄に詰めて支度をする 用意が終わると確認して寝室を出た 寝室の鍵を掛けて部屋から出ると一生がいた 「康太と旦那はお泊まりかよ?」 「………妬いてましたからね…… こうなるのは想定内です」 「帰りに皆で飯食わねぇか?」 「良いですね!」 「聡一郎と隼人呼んでくる」 一生は喜び勇んで飛んでいった 慎一は階下に下りて行った 子供達は京香に頼んで下へ運んだ 今頃はご飯を食べて、お腹一杯になってる頃だ 北斗も一ヶ月の入院を経て帰って来た 和希と和馬も子供は好きで、自分から面倒見ていた 慎一は子供達は大丈夫と踏んで、玄関まで歩いて行った 玄関には聡一郎と隼人と一生………と瑛太がいた 慎一は瑛太を見て微笑んだ 「瑛兄さん、ホテルニューグランドまで連れて行って下さい」 と運転を早々に放棄して瑛太の車で行く事を決めた す 「康太が買ったというベンツに、俺はまだ乗せて貰ってません」 一生も「お!そう言えば康太が買ったベンツなんだよな!」と楽しそうに言った 瑛太は 「………康太が中学の頃……私のベンツを壊しました…… 大人になったら買ってやると言ってたのですが…… まさか……買ってくれるとは想いもしませんでした」 と嬉しそうに答えた 「と言う事で瑛兄さん運転よろしくお願いします」 何だか乗せられた感が半端ないけど、瑛太は4人を車に乗せた 5人でワイワイ騒ぎながらホテルニューグランドへと向かう 慎一はベンツから下りると 「俺が行きますので、皆さんはフロアで待ってて下さい」 と言いホテルの中へと進んだ エレベーターに乗り最上階まで上がっていく エレベーターから下りると左突き当たりの部屋へと向かう 慎一はドアをノックした ドアは待っていました!とばかりに直ぐに開いた ドアを開けたのは榊原だった 「……慎一、本当に悪かったですね……」 「お構いなく……主は?」 榊原はソファーを指さした 康太はバスローブを着てソファーに座っていた かなり不機嫌でご立腹だった 「………喧嘩しました?」 「いいえ……してません!」 榊原は着替えを受け取ると、康太を抱き上げた 「慎一、少し待ってて下さい」 そう言い榊原はベッドルームへと向かった そして康太を着替えさせて……抱き上げて連れて来た 「………慎一、康太を背負って連れ帰って下さい……」 「………え?……」 「腰が立たないのです……」 榊原は真っ赤な顔をした 康太も真っ赤な顔をしていた 慎一は……足腰たたない……そこまでしますかぁ~主ぃ~ と想ったが……言わないでおいた 「僕が抱き上げて行くのは……嫌だと言うんです」 解る…… お姫様の様に抱き上げられてホテルの中を歩くのは…… それは無理ですよ伊織…… 「僕は抱き上げて連れて行くと言っているのに…… 康太は嫌がります……なので慎一頼みます! 背負って康太を僕のベンツまで連れて行って下さい」 「………フロアに瑛兄さんと一生達がいます……」 「………ファミレスに行くのですか?」 「見たいです」 「ファミレスは一生が背負ってくれます!」 康太は真っ赤な顔をして怒っていた 「………背負われて歩くのがどんだけ恥ずかしいか……」 「康太許してね……」 「………伊織……謝らなくて良い…」 欲しいと言い押し倒したのは康太だったから…… 甘い空気を打ち消し 慎一は康太に背を向けた 「康太、帰りますよ」 康太は慎一の背中におぶさり、首に手を回した 「……ごめんな……慎一」 「お気になさらずに」 「まさか……歩けねぇなんて想わなくてよぅ……」 慎一は康太を背負って榊原を促して部屋を後にした 一階まで下りて、榊原は精算に向かった 二部屋分の精算をして榊原は康太達の方へと向かった 「行きましょうか? 何時ものファミレスで良いんですよね?」 榊原が聞くと瑛太が 「ええ。康太は歩けませんか?」 と問い掛けられた 榊原は真っ赤な顔をした まさか……榊原伊織の赤面を目にしようとは…… 激しい夜だったのだろう… 榊原は駐車場まで慎一に送って貰うと 康太を抱き上げて後部座席に康太を寝かせた そして運転席に乗り込んだ 一生は榊原の車の助手席に飛び乗ると 榊原は運転席に乗った 慎一は瑛太の車に聡一郎と隼人と乗った 何か何時見ても濃い夫婦だった 羨ましい位に…… 瑛太は「新婚が抜けませんね」と笑った 聡一郎は「多分死ぬまで新婚ですよ、あの2人は…」と笑った 隼人も「離れてる方が不安なのだ」と言った 全員納得した 慎一は主が幸せなら…… どんな事でも受け入れられると想っていた 康太が幸せで笑っていれば…… 俺は生きていけます 慎一の願いだった

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