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第50話 L'empereur

L'empereur フランス語で皇帝を意味する L'empereurと言うホストクラブは横浜の繁華街で一番売れて、名を馳せているホストクラブだった そのホストクラブにヤケにイケメンが来る時があった 背の小さな男は保護欲をそそる可愛い男だった その男の後ろには必ず俳優ばりにイケメンが2人控えていた 背が高く 無駄な肉は削いだ綺麗な体躯をしていた 背の小さな男はスタスタと脇目も振らずに店内を我が物顔で闊歩した 常連客ならその光景は楽しみにしている光景だった 知らない客は何が起こったのか……解らなかった 入ったばかりのホストが背の小さな男の手を掴もうでもたら…… 横に控える男達は容赦なく…… 近寄るホストを殴り倒した 「近寄るな!」 狂犬が吠える 寡黙な男が小さな男を背に隠した 「この人に近寄るな!」 寡黙な男も吠える その騒ぎに店長室から村上隆二、北村省吾、中村俊作が出て来た 「何かありましたか?」 問い掛けると新人ホストは正義感に満ちて… 「コイツ等当然の顔して店内に入って来やがったんです」 と言った 先輩ホストは哀れみの瞳を向けた 「康太に触れようとしました…」 寡黙な男言うと狂犬も 「康太は伴侶しか触らせねぇ! 気安く止めようとすんじゃねぇ!」 と吠えた 隆二は深々と頭を下げた 「店の者の管理がなってませんでした……お許しを…」 北村省吾も深々と頭を下げた 「………今後……一切貴方には触れさせません……」 と謝った 中村俊作も 「貴方が許さないならクビにしても構いません」と謝った 隆二は康太に笑顔を向けた 「康太、井筒屋の羊羹、用意して待ってたんだ 帰ったりしないよね?」 と悲しそうに問い掛けた 康太は隆二の前に行くと手を伸ばした 「井筒屋の羊羹じゃ帰れねぇよ」と言い笑った 隆二は康太を抱き上げた 「今日は君が来るから、ずっと待ってたんですよ」 「だから来たじゃねぇかよ!」 「では店長室にお連れします」 隆二が連れて行こうとすると俊作が 「隆二だけ……ズルい……」と言った 省吾も「康太……俺も待ってたんだ!」と訴えた 「省吾、久しぶり」 「んとによぉ!可愛いんだから!」 省吾は骨抜きだった 俊作は隆二から康太を取り上げて 「康太、約束の子供 やっと君に渡せます!」と嬉しそうに言った 「なら飛鳥井に来いよ」 「いいえ……僕達との付き合いは隠れてるから都合が良いのです」 「なら部屋を取れよ」 「伴侶殿見せてくれます?」 「良いぞ」 康太が答えると省吾も康太を抱き上げた 「康太、聞きたがったネタ キッチリ掴んだから…」 「お!それは助かる」 省吾と俊作は康太と番犬2人を店長室に連れて行った 隆二はニコッと笑顔で新人を呼ぶと…… 鳩尾に拳をぶち込んだ 「今後一切…あの人に触るな! そして、あの人の事を勘繰ったり詮索はするな! 命が惜しいなら……止めとけ」 そう言い隆二は新人を離すと、店長室に行った 新人は……あんなに怖い隆二の顔は知らなかった あまりの怖さに……息が出来なかった チーフが新人を回収して 「あの人は怖いよ…… ヤクザだって跪かせる事が出来る……人なんだ 隆二さんが言う様に詮索はするな! あの人は、この店のオーナー様だ! どっち道……あの人に歯向かって……生きていけると思うな」 新人は今後一切…関わらないと心に誓った 店の女性は同席してるホストに 「あの寡黙な方は……指名出来ますの?」 「あの狂犬みたいな方は…指名出来ますの?」 「あの小さな男の子……庇ってあげたい……見受け出来ますの? 幾ら出しても欲しいわ」 と問い掛けられ…… 対応に追われたのは言うまでもない 隆二、省吾、俊作は康太と一生と慎一と楽しい時間を過ごした 飛鳥井康太の情報屋 どんな情報でも康太が望むなら手に入れる その為に利用できるモノは何でも使った この顔だって…… 役に立つ日が来るなんて想わなかった 何時か年を取ったなら……息子達に託せば良いのだ 隆二の息子は千尋が育てていた ロクデナシに似ずに堅実な子供に育てってる 何時か……その子供に店を託す 隆二はニャッと笑った 人生楽しい 康太と出会ったから退屈しねぇ! 「また来てくれよ」 隆二は康太に声を掛けた 康太は笑って片手をあげた 隆二と省吾と俊作は康太を見送った この男のために……生きてるのだと……胸を握り締めた

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