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第52話 ワンワンホテル

家族で花火大会へ出掛けると決まったコオとイオリはペットホテルに泊まる事になった コオとイオリはワンワンホテルへと連れて行かれた 「お預かり致します!」 手続きを済ませて、ご主人様をお見送りしてコオとイオリは二泊三日、宿泊するゲージに入れられた 「ワンワン…ワォォォン」 イオリは慌てた コオと一緒だと想っていたから…… だけど現実は……コオとイオリは別々のゲージに入れられた 「え?嘘……コオ……嫌だよぉ…」 イオリは鳴いた キュンキュン鳴いて…… 挙げ句……ワォォォンと遠吠えした 「コオ……愛してます…」 キュンキュン鳴いて言い続けた コオもキュンキュン鳴いた 「イオリ……オレも愛してるってばさぁ……」 「………コオ……君のぬくもり……がないとボクは眠れません……」 「イオリ……オレも……おめぇのぬくもりがないと眠れねぇよ!」 鳴き止まない犬二匹に店員は……お手上げになった 店員は飼い主に電話を入れた 「もしもしワンワンホテルの者です」 『あ!お世話になります 何かありましたか?』 康太は店員に問い掛けた 『鳴き止まないのですが…… 遠吠えも凄く二匹でやるので、他の犬が怯えてしまって……』 「スミマセン……コオとイオリは一緒のゲージですか?」 『………いえ……別々です』 「だからか……スミマセン、コオとイオリは夫婦ですので、同じゲージに入れて下さい」 はぁいいいいいいいいいい? 夫婦? 店員は考える 宿泊犬名簿を見た 飛鳥井コオ ♂ 飛鳥井イオリ♂ オスなんですが……… 店員はフリーズした 慎一が困った顔した康太に近寄った 「何かありましたか?」 「……コオとイオリが鳴いて迷惑掛けてるみてぇなんだ…」 「ゲージは別々なんですね」 「……だと思うから聞いたら別々だって……」 「俺に電話を貸して下さい 店員さんに話して同じゲージに入れて貰います」 慎一は店員と話を始めた その犬は兄弟の様に育って夫婦の様に暮らしてるので離すと鳴いて互いを呼んでしまいます ですから同じゲージに入れて下さい と頼んだ 店員はやっと納得してコオとイオリを同じゲージに入れた すると…… シュナウザーはコーギーを組み敷いて……腰を揺すりだした ………夫婦……夫婦だなこれは…… やっと納得した 引き取りに来る日までコオとイオリは手の掛からない犬だった ワンワンホテルは夫婦用のゲージを始めたのは言うまでもない

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