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第60話 コオ イオリ ご主人様帰って来て‥
ご主人様が………飛鳥井の家から消えた
帰って来なくなって……秋から冬になりつつあった
散歩に行く息が白くなっていた
寒さに負けずに散歩する
連れて歩くのは……
ペットホテルの店員でなければ……
最高に楽しい散歩なのに……
面倒見られないから……とペットホテルに預けられて1ヶ月
コオが鳴く
「……逢いたいよぉ……」
イオリはペロペロとコオを舐めた
「………もう迎えに来てくれないんだ……」
コオは顔を埋めて鳴いた
「そんな訳ないじゃないですか……
このホテルだって安くはないんですから……迎えに来てくれるに決まってます」
イオリは信じていた
絶対にお迎えに来てくれる……と。
でなきゃペットホテルになんて預けない……
コオは飼い主康太に逢いたいよぉ…と鳴いた
イオリも飼い主康太に逢いたい
飼い主伊織に逢いたい……
イオリも鳴き出した
耐えるように……キュンキュンと嗚咽が漏れる……
コオはイオリを舐めた
コオよりイオリの方が年下なんだから……不安がらしたらダメなのに……
甘えてしまう
「………ゴメンなイオリ……」
「……何で謝るんですか?」
「……オレの方が年上なのに……
お前に甘えてばかりだ……」
「もっと甘えてください
僕がいなきゃ生きられない位に僕に甘えて下さい……」
「……イオリ……」
「僕はコオがいてくれれば生きていけます……」
「……イオリ……」
コオはイオリに甘えた
辛い時も
悲しい時も
2人なら…
乗り越えられる
コオとイオリはギュッと互いを抱き締めた
飼い主康太……
飼い主伊織……
待ってるから……
だからお迎えに来て……
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