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第62話 忠犬
飛鳥井の家に脇坂篤史と野坂智輝がやって来た
榊原笙が犬を見せる為に、野坂を飛鳥井に連れて来たのだった
「野坂、犬です
さぁ君も交わりなさい」
笙はそう言い野坂をコオとイオリに逢わせた
野坂は正座してコオとイオリにご挨拶した
「野坂智輝です!宜しく」
ペコッと頭を下げた
瞳は脇坂を見ていた
何時呼ばれても行ける様に、脇坂から目を離さなかった
『……イオリ……この子……』
『……ええ……解ってます……』
『イオリ……この子忠犬だよ』
『ええ……コオ、忠犬の血を引いてますね』
『オレ……忠犬って初めて見た……』
『ボクも……忠犬は初めて見ました』
「野坂、手を洗っておいで!
君の好きなお菓子があります」
脇坂が言うと野坂はすぐに横に行った
『……忠犬だ……』
『……忠犬ですね……』
犬の鏡
忠犬を間近で見れてコオとイオリは感動していた
脇坂と笙、蒼太が集まり昔話に花を咲かせる頃
野坂はコオとイオリと共に……
スヤスヤ眠りに落ちた
『……イオリ……』
『ええ解ってますコオ……』
『護らなきゃ……』
『ええ護りましょうね…』
コオとイオリは忠犬を守っていた
ペロペロとコオに舐められ野坂は寝ていた
笙は……三匹の仲の良い犬……にしか見えなかった
蒼太も……三匹の仲の良い犬達……にしか見えなかった
笙は……「最近……目が……」
蒼太も「……最近視界がヤバいかも……」
と忠犬野坂に戸惑いを隠せなかった
康太は笑っていた
榊原の耳に
「忠犬だ伊織……」と囁いた
「コオとイオリも興奮してましたね」
「解った?」
「ええ。瞳の輝きか違いましたね」
「………あんなに綺麗だから……お前の魂を揺さぶる作品が書けるんだな……」
「……彼の作品は魂を鷲掴みされますからね……」
榊原は康太の頬に口吻た
脇坂は酔いが冷めると野坂を起こした
「………篤史……帰ろう……」
「ええ。今帰ります
歩いて下さいよ?」
「解ってる……家に帰ったら悪いけど寝る……」
「ええ。家に帰ったら寝てください」
「………怠いんだよ……」
「我が儘なお姫様ですね…」
「帰ろう篤史…」
野坂は眠いのか駄々をこねていた
「笙、自宅まで送って行こうか?」
「蒼太に送って貰います
通り道なんですよ」
「そうですか、なら僕達は帰ります」
脇坂は立ち上がった
すると野坂も立ち上がった
コオとイオリは忠犬を見送った
『犬の鏡だねイオリ……』
『そうだねコオ……』
コオとイオリは初めて出会った忠犬に感激していた
コオとイオリの忠犬との出逢いだった
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