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第68話 滲み出る幸せ

つま先から尾っぽまで…… 滲み出る幸せ 解る? ねぇねぇ、このページ見てる そこの君! 解る? 解るよね! 僕の幸せオーラ! あぁ、幸せだ! 僕の妻は本当に可愛い 見せたくないけど、少しだけ見せるね コーギーのコオ 全身愛くるしくて…… あぁ……食べちゃいたい! イオリはコオのお尻に噛み付いた キャィーン! 『われ!何さらすんじゃ!』 コオは怒った ゴメン……ゴメン 本当に噛み付いたら怒るよね? 『コオ!僕は君と出会えて良かったです』 『………そうか? オレと出会わなかったらチャンピオン犬として兵藤の家にいられたのに………』 『そんなの些細な事です 僕は君と出会えて本当に幸せです! 最近幸せ過ぎて、幸せオーラ出ちゃってヤバいです』 ………お前の視界がヤバいんだろ? 犬も……ほら、目が悪くなる事あるのかよ? 『僕の奥さん!愛してます!』 うわっ!キラキラに輝いていやがる…… 目に悪いぜ…… どうするんだよ? コオが困ってると飼い主康太がやって来た 「………うわぁ……コイツ……幸せオーラすげぇな……」 康太は呟いた 榊原もやって来てイオリを目にした 「………何ですか……この幸せオーラ…… この世で一番幸せですオーラは……」 「………こんなオーラ出したの……散歩に連れてくの…… 嫌だぜオレ……」 「飼い主の努めです康太」 「………伊織……世界は自分の中に在るみてぇな奴…… 連れて歩くの嫌だぜ……」 「……イオリ……そのオーラを隠しなさい ……でないと散歩に連れて行きませんよ!」 榊原はイオリに告げた 『………ええ!そんなぁ……』 イオリは項垂れた…… トボトボ……情けなくイオリが歩く 僕は幸せなんです 愛する妻といられて…… 泣きながら……鼻水まで垂らして……イオリは歩いた 散歩の途中、兵藤の家の犬 桃太郎がやって来た 『……う!……何よこの子……不幸オーラ全開?』 兄弟犬の桃太郎はイオリを慰めて舐めた 『………桃太郎……構わないで下さい……』 『お前どうしたんだよ?』 『散歩に連れて行って貰えない……程に……僕は……』 うっうっ……とイオリは泣いていた 飼い主康太は可哀想になり 「イオリ……どや顔で良い……」 と慰めた 榊原も仕方なく 「鼻水垂らすなら……幸せオーラ全開で良いですよ……」 と妥協した イオリはピカピカに笑った 『コオ 愛してます』 『………恥ずかしいってばよぉ…』 『コオ 僕の奥さん!』 『……もぉ嫌……』 コオは早足で逃げた イオリはそれを追って行った 桃太郎は『単純……』とボヤいた 康太は桃太郎の頭を撫でて 「イオリはあれで良いんだよ」 と笑った ねぇねぇ、このページを見てる、そこの君 僕の幸せオーラ解る? 僕 産まれて来て良かった きっと僕はコオに巡り合う為だけに産まれて来たんだね 幸せです 愛って…… 苦しくて それでも幸せです コオ コオ 僕の総てです! イオリは幸せオーラ全開で歩いていた ………誰か……このチャンピオン犬を眼医者に連れてってくれ! コオは……幸せオーラで目が潰れそうだった

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