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第69話 エイプリルフール
今日は4月1日
エイプリルフールだ
嘘ついても良い日なんだぜ
って事でオレもウソをつくかんな!!
待ってろ!伊織!
「………伊織……」
康太は翳りを見せた顔で榊原を呼んだ
榊原は胸騒ぎを覚えた
「………何です?」
「………オレ……」
涙で潤んだ瞳を榊原に向けた
「何ですか?」
榊原は康太の腕を掴んだ
「………好きな奴が出来た……」
カッとして榊原は康太を副社長室のソファーに押し倒した
「僕の他に……好きな人が出来たと言うんですか!」
榊原の怒気に当てられ……
エイプリルフールだってば!とは言えなかった
「君は……誰のモノですか?」
榊原は康太の前髪を掴んで……
噛み付く様な接吻をして問い掛けた
「………伊織……の……
榊原………伊織のモノ…」
「なら何で僕以外の人を好きになるんですか?」
榊原は冷酷に嗤い康太のズボンを脱がした
足を抱えて……ローションを垂らした
そして乱暴に康太を貫いた
「僕のモノなのに……
他に好きになった人を作ったんですか?」
「………痛い………っ………」
「………僕以外の人など愛せないって言ったのは嘘ですか?」
「……伊織……」
康太は辛そうに榊原を呼んだ
「何ですか?」
その瞳には残酷に光っていた
嘘や誤魔化しなど言うのは許さない!………そんな残忍さが伺えれた
「………伊織……今日は何日?」
「今日ですか?
今日は4月1日です」
「………その日って……何か知ってるか?」
榊原は怒った瞳を康太に向けた
「エイプリルフールですね!
でも……こんな嘘……聞きたくないです!」
榊原は康太を掻き抱いた
「………ごめん……伊織……」
「…………君の唇が………僕以外の人を好きになった……なんて……
僕に死刑の執行を言い渡してるのと同じです……」
榊原の腕は震えていた
声も………震えていた
康太は榊原の背中に腕を回した
「………ごめん……
お前……直ぐに嘘を見破るから……」
「………今度こんな嘘をついたら………」
榊原は噛み付く様な接吻をして
「犯り殺します!」
榊原はそう言い康太を激しく揺さぶった
エイプリルフールの嘘
………それは命を賭ねぇと……
命取りになる……と思い知らされた
もう来年は………嘘つかねぇ……
康太の心の叫びだった
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