77 / 163

第77話 ローソク

翔の誕生日 11月20日 榊原はケーキを買った 「名前は、どうします?」 店員に聞かれ榊原は紙に書いたのを渡した 「………かける、りゅうせい、おとや、ひなた、かなた………ですか?」 5人も誕生日なのに……ケーキは一個なのか…… 五つ子だったりして…… 若いのに……家族持ちか…… 店員は少し残念そうな顔をした こんなにイケメンなのに…… 勿体ない…… でも……5人も子供がいるなんて……絶倫…… 店員の妄想は限りなく…… 「ローソクは何本お付けしますか?」 「5本……お願いします」 5歳の子供がいるのか…… イケメンなのに子煩悩 悩殺だわ…… 1月5日 流生の誕生日 榊原はケーキ屋にいた 店員は翔のケーキを売った店員だった 「お名前はどうなされますか?」 「かける、りゅうせい、おとや、ひなた、かなた でお願いします」 ………また? 今日も5人の誕生日なの? 「ローソクはどうなされますか」 「5本お願いします」 ………この人……大丈夫かしら? イケメンなのに…… 残念だわ…… 店員はこの後も1月31日、2月1日にも 同じような光景を目にした 2月1日はケーキが2個だった 店員は思い切って榊原に問い掛けた 「……今回はケーキが2個なんですね?」 「今日は妻の誕生日なんです 双子も同じ日に産まれたので2個なんです」 ………あ、そう 物凄く幸せそうに言われて…… 何だか腹が立った 「プレートは何と入れますか?」 「奥さん 愛してます と、 かける、りゅうせい、おとや、ひなた、かなた、でお願いします」 「ローソクは何本お付けしますか?」 「妻は20本、子ども達は5本お願いします」 ニコニコ幸せそうな榊原に…… 店員は……この世の幸せ独り占めしてるよ……と思った さぞかし美しい女性なんだろうな…… このイケメンがデレデレになってるんだから…… 翌年……ケーキを買いに来た榊原はローソクは5本 変わらず言った ………子ども達は年を食わねぇのかよ? と思ったのは間違いないなかった ジナル二次創作 前 しおりをはさむ 次 自分の作品 超 短編集 ② 第4章 ローソク 小中大テキストサイズ ページ編集 一人がローソクを消すと、自分達もやりたいと子ども達が泣くから 榊原は毎回5本ローソクを買って来ていた 皆、仲良く一本ずつ削す 何をやるのも一緒の子ども達だった ケーキ屋の店員は…… 毎年、5本以上のローソクを着ける事はなかった 『何で5本なんだよぉ~』 聞けたらサッパリする店員だった

ともだちにシェアしよう!