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第78話 運動会

秋の澄み渡る空の下 修学館 桜林学園 初等科の運動会が行われた 来賓席には飛鳥井康太が飛鳥井の両親や兄弟を連れて、榊原伊織が榊原の両親や兄弟を連れて来ていた どう言う訳か裏の家の兵藤貴史もいた ………清家静流が桜林の仲間と来ていた 緑川一生と緑川慎一兄弟は子供の晴れ姿に胸を躍らせていた 康太はプログラムを見て 「次はリレーか……北斗はどうするんだよ?」 と一生に問い掛けた 一生が答えようとした時 「康太!もしやと想い見に来ました!」 戸浪海里が運動会に乱入して どう言う訳か三木繁雄や堂嶋正義も参列者の中にいた 一生は「……運動会にこの人達がいるのが怖い……」とぼやいた 今年の初等科 1年のクラスは3組まであった 北斗は1組 和希は2組 和馬は3組 北斗はリレーの列の中にいた キリッとした顔をしてハチマキを巻いていた ピストルが鳴り響き、リレーが開始された 康太は心配そうな顔をした 足の手術をして歩ける様になった 北斗は血を吐く努力をして日常生活で誰の手も借りなく生活出来る様にしていた 物凄い努力だった 和希や和馬とは重ならない様にリレーはなっていた でないと…… 和希と和馬は北斗が心配で走らなくなるから…… 北斗の番が来て、北斗は位置についた パーンとピストルの音が鳴り響き、北斗は駆けだした 「北斗!頑張れ!」 康太は応援した 北斗は一番ドベだった だが必死で走った 教師の佐野春彦はテープを持って来た 最後まで諦めない北斗の為にテープを持って待っていた 北斗はテープを見て嬉しそうに笑った 両手を挙げてテープを切った 一生はその光景を写真に撮った テープを切った北斗に近付き一生は北斗を抱き締めた 「………無理しなくても良い……」 「父さん……無理なんかしていない……」 「お前は父さんの誇りだ 努力した日々があったから……走れたんだ」 「うん……父さん……」 北斗は一生の胸に顔を埋めて泣いた ずっと見学だった 皆と走りたい そう思って生きてきた 半分……諦めて 半分……焦がれて だから……スタートラインに立てて感激だった 佐野春彦はマイクを持ち 「今の子は緑川北斗と言います 生まれつき彼は体の骨がボキボキで産まれました 日頃の生活も厳しい中、彼はオペをして…… 努力をして……スタートラインに立ったのです 結果より彼の努力にテープを持たさせて戴きました 緑川北斗、よく頑張ったな」 佐野の言葉に盛大な拍手が贈られた 椅子に戻ると和希と和真が来ていた 「北斗、頑張ったね」 と言い和希は北斗を抱き締めた 和真は北斗の足を見た 「痛い所はない?」 「ないよ、僕……テープを切ったよ」 「うん!凄いよ北斗」 和希は胸に着けられた一等賞のピンクのリボンを北斗の体操服に着けた 和真も一等賞のピンクのリボンを北斗の体操服に着けた 「格好良かった」 和真も北斗を抱き締めた 5年生の長瀬和哉が北斗の傍に寄って来た 「北斗くん頑張ったね」 「和哉くん……ありがとう」 「北斗くんに一等賞あげる」 和哉は一等賞のピンクのリボンを北斗に着けた 北斗は3個の一等賞のピンクのリボンを胸に着けて笑っていた 「和哉くん……ありがとう」 「また遊ぼうね」 「うん!和哉くん!」 北斗は和哉が大好きだった 和希と和真も和哉が大好きだった お兄さんみたいな和哉に懐いていた 一生は学校にいる北斗は知らなかった 虐められてなきゃ良いな……そう思っていた 和希と和真の存在がありがたい 一生は何時も傍にいてくれた康太を想った 学年中から嫌われた存在だった 誰も要らなかった だけど、どんな時でも……康太は傍にいてくれた 遥か昔から…… 一生は揺れる視界の向こうにいる子供を何時までも見ていた

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