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第82話 映画

書き下ろし色紙欲しさに康太は映画館へ行きたいと言った 榊原は康太の願いを叶えるべきチケットを取った 康太は映画に釘付けだった 映画で手を握ったり……キスしたり…… なんてのを期待していた榊原は少しだけ残念だった 瞳がスクリーンに釘付け…… 榊原は仕方なく大人しく映画を見た 康太が最近ハマってるのは巨人モノの映画だった この前康太が、午後の紅茶を買ってきたから冷蔵庫で冷やしてあげたら…… 物凄く怒った 「これは冷やして飲む為のもんじゃねぇ!」 ジュースは冷やして飲むものでしょ? 榊原には……解らなかった 康太は榊原に声をかけた 「………伊織は漫画とか好きじゃねぇだろ? 一緒に来てつまらなくねぇか?」 「君と一緒にいたいのです…… 迷惑でしたか?」 「違ぇよ…好きくねぇなら見てても苦痛じゃねぇか…だから聞いたんだよ」 「単行本16巻全部読んできたので話は解ります 康太は主人公の考え方が好きなんですよね? 曲がらない一途さが好きなんですよね?」 「………ん……」 康太は榊原の肩にもたれ掛かった 「………オレには青龍がいてくれたかんな… 護りてぇモノがちゃんとある……」 榊原は康太の手を強く握り締めた 静かに映画みた こんな日も悪くない 康太と一緒にいられれば…… それで良い 何気ない一日 康太と二人で見る映画 ………次も色紙欲しさに見るんだろうな…… と榊原は笑った それでも良い 康太の願いなら…… 何でも叶えたい 自分が出来る事なら総て叶えてやりたい 榊原の想いだった

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