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第99話 足が長くなりたい‥

飛鳥井の玄関の姿見に映るオレの足は……    短い…… う~ 何でこんなに短い…… シュナウザー(ミニチュアじゃない大きい方のシュナウザー)のイオリは足が長い…… 流石……チャンピオン犬…… スタイルも毛並みも抜群 どうしてこんなに格好良い犬が…… オレなんかを………って何時も想う 足…… 短いよな…… 姿見でクルンッと1回転 『コオ何してるんです?』 イオリがコオの臭いを嗅いで舐めた 『………にゃんでもにゃい……』 『君は猫みたいに可愛いですね!』 今にもコオに飛び付きそうなシュナウザーの首輪を榊原は引っ張った キャンッ イオリは涙目で榊原を見た 「散歩 行きたいなら盛るのは後にしなさい!」 容赦のない言葉を投げ掛けられイオリは頷いた 1日に1回の散歩は楽しい 「では行きますよ!」 榊原はコオのリードを持って家の外に出た イオリは楽しい散歩に優雅に先を歩いた コオは短い足で遅れて歩く イオリは長い足で優雅に歩く コオは悲しくなって……歩くのを辞めた 座り込んだコオを榊原は抱き上げた 「今日のコオは甘えん坊ですか?」 撫でながら榊原に涙目で訴える 「足の長さは気にしてはいけません」 『……え……ご主人伊織……』 「君はウェルシュ.コーギーの血筋を誇りに想いなさい」 キューン キューン コオは泣いた イオリはコオの傍に行く為に走った 康太が息を切らしながら……戻ってコオの傍へと行った さっさと歩いていたらコオがいなくてイオリは慌ててコオの傍に走ったのだ 「……オレ……シュナウザー要らねぇ……」 走らされて康太は怒っていた 「康太、それは言ってはいけません」 「この馬鹿犬……コオがいねぇから走って戻りやがった!」 康太は掌を榊原に見せた かなり頑張って康太を引っ張った痕があった 榊原はイオリの髭を掴むと…… 「突進は禁止ししましたよね?」 キューン キューン イオリは鳴いた イオリは反省してクシュンと項垂れた 榊原はイオリのリードを持った 康太はコオのリードを持った 仕切り直して散歩に出るとグレードデンの玉三郎と逢った コオは『玉ちゃん』と近寄って行った 玉三郎は元気がなかった…… 榊原は「玉三郎、元気ないですね」と問い掛けたら 玉三郎の飼い主が…… 「玉三郎……メスと掛け合わせたのよ そしたら……元気なくてね……悪い事をしたわ」 飼い主は反省していた 「でもね……玉三郎のDNA受け継いだ子も欲しくてね……」 飼い主の呟きに榊原も 「解ります! 遺しておきたいですよね」と賛同した イオリはギクッとなった…… コオが……子作りなんて……厭だ! 涙目になるイオリの頭を撫でると 「うちはコオとイオリはこのままで良いです」と言った 『……ご主人伊織……』 イオリは涙を流して榊原を見た 「イオリはずっとコオといれば良いです」 感動してると兄弟犬の桃太郎が走って来た 『コオ!イオリ!元気?』 尻尾を振って桃太郎は今日も元気だった 「桃太郎は元気だな」 康太が笑って言うと兵藤は 「コイツはかなりポジティブな奴だからな!」と笑った 「コオは足が短くて悩んでる……」 「……え?……何よそれ……」 「イオリの様に長くなりたいそうだ」 「……無理だろ?コーギーだぜ?」 「………だよな?だからコオ、このままでいろ! オレだって伊織みてぇに格好いい男になりてぇ時もあんだぜ?」 『ご主人康太……』 「オレはオレにしかなれねぇし コオはコオにしかなれねぇんだ!」 コオはブンブン頷いた 『散歩行こうよ!』 桃太郎が嬉しそうにコオを鼻で押した コオは気を取り直して歩き出した 『コオ ボクの隠してある骨あるげるから元気でいてね!』 桃太郎はコオにそう言った 『桃ちゃん……』 『コオ、競争だよ?』 『うん!頑張る!』 コオは走り出した 桃太郎も走り出した 康太と兵藤はリードを引っ張られ…… はぁはぁ……ぜぇぜぇ…… イオリは走らなかった 飼い主伊織が怖いから…… 康太はリードを離した 兵藤もリードを離した 「「やってやれるかよ!」」 二人して怒っていた でも気にしない コオ 細かい事は気にしちゃ駄目なんだよ! ハハハッ 毎日楽しい! 桃太郎であった……

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