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第101話 永遠
永遠は何時も一人だった
周りに誰もいなかった
物心つく頃から一人だった
お母さんらしき人と別れてから……
色んな所を転々とした
赤ちゃんには感情がないと想ってるのかなぁ……
何も解らないから……
やるのかなぁ……
ボクだって……
見ている事は解るのに……
「可愛い!」
そう言って抱き上げてくれた人が変わる
何処へ行けば良いのかな……
何時まで……此処にいられるの?
何時まで……可愛いと抱き上げてくれるの?
何時まで……
ボクは人の手をたらい回しにされれば良いの?
金髪の綺麗なお兄さんがボクを抱きしめて泣いた
ボクの存在は……
貴方を泣かせるの?
何時も……
何時も……
ボクの中に誰かを見て……
金髪の綺麗なお兄さんは泣く
ボクは産まれてきては……
いけない子だったのですか?
物言えない子供は……
自分の気持ちさえ言えない
不安だよ?
不安だよ……
ボクは……何処へ逝けば良いのですか?
年を重ね
大きくなる
まだ4年しか生きてはいないが‥‥‥
たらい回しにされた人生がこの先もたらい回しにされるのかと想うと‥‥憂鬱だ
飛鳥井の家に来た
だが永遠はまた此処から何処かへ逝かねばならないかと‥‥
心を閉じて皆を見ていた
感情を総て遮断して生きて逝く
それが永遠の生きて逝く上での対処法だった
だけど‥‥康太君が‥‥飛鳥井にいて良いと謂ってくれた
「永遠、何でお前は感情を表に出さねぇんだよ?」
そう聞かれ‥‥ボクは謂う
「かんじょうをなくしぇば、またもらわれていっても‥‥たえられりゅから‥‥」
そう言うと康太君は辛そうな顔でボクを抱き締めてくれた
「おめぇは飛鳥井の子供も同然だ!
何処へも逝かさねぇ、心配するな!」
そう言い抱き上げてくれた
ボクに安心して泣き出した
不安な瞳を向けるとニカッと笑って頭を撫でてくれた
「不安がるな!
もう何処へも逝かさねぇ!
来いよ永遠!
オレの子供達だ!
沢山遊んでやってくれ!」
そう言い……ボクを小さな子の前に連れて来てくれた
その日から……流生達は『とわちゃ』と言い
ボクの傍にいてくれる様になった
瑛智が出来て……美智留が遊びに来て
皆で遊ぶ
そんな日が来るなんて想わなかった……
もう一人じゃないんだね……
もう淋しいと言っても良いんだね……
「とわちゃ りゅーちゃ」
ギュッと抱き締めてくれる
「りゅうちゃん」
4才のボクに初めて出来た友達であり家族だった
流生はボクにキスしてくれた
流生達はキスが大好き
よくキスしてくれる
和希と和真、北斗もやって来て遊んでくれる時
皆に遊んで貰う時が一番幸せだと想う
ボク……
もう何処にも逝かなくて良いんだね
永遠はやっと安住の地を手に入れた
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