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第112話 みゃきゃい

とぅちゃとかぁちゃが旅行に連れて来てくれた バスも電車も車にも乗らずに、旅行に来た そこは「みゃきゃい」と言う所らしい この旅行には一生も慎一も隼人も悠太も ひょーろーきゅんも来た 「かぁちゃ みゃきゃい?」 流生は問い掛けた 「そうだぜ!此処が魔界だ」 康太が言うと、真っ赤な服を着た閻魔が出迎えてくれた 流生はとぅちゃの足に隠れた 翔は黙って閻魔を見ていた(正確には固まっていた…) 音弥はひょーろーきゅんに抱き着いた 「ひょーろーきゅん!……きょわい!」 音弥が言うと兵藤は音弥を抱き上げた 「大丈夫だ!恐くない……」 子供がいると知ってるなら……… もっと現れ方があるだろうに…… 本当に大人気ない…… 兵藤は心から想った 太陽と大空も一生に抱き着いていた 「「かじゅ……わりゅもん……」」 戦隊ものの悪者だと勘違いしている ………一生は苦笑した なんと言って良いか解らないし……黙っていた 下手なことを言ったら閻魔は怖い…… 「炎帝、待っておったぞ」 「兄者、世話になる」 「炎帝、傷の具合はどうじゃ?」 「……あんまし……良くねぇな…… オレは吸血鬼じゃねぇのに銀玉使いやがったかんな……余計治癒を邪魔してやがる…」 かぁちゃが真っ赤な服を着たのと話してるのを子ども達は見ていた 部屋の奥から……キラキラの美人が姿を現すと…… 子ども達に話し掛けた 「そちが炎帝と青龍の子達か……おいで」 言われると流生が駆け寄って行った 「ばぁちゃだぞ!流生」 抱き締めて口吻けを落とした そして他の子も天照大神の傍によると抱き締められた 「りゅーちゃ!」 「かけゆ!」 「ちな!」 「おとたん!」 「きゃな!」 子ども達は手を上げて天照大神に自己紹介していた 「炎帝と青龍の子は可愛いな」 「………オレは産んでねぇけどな……」 「お主が魂を与えて育ててるならお主の子と何も変わらぬ!」 天照大神は菩薩の様な微笑みを浮かべた 「子ども達は我等が見ていよう お主達は摩利支天を呼んで銃創を取って貰って湯治に逝くが良い」 天照大神はそう言った 「………子ども達は大丈夫か? 歩き回るぜ?」 「この屋敷からは出られぬ またこの屋敷に入り込むのは至難の業 安心して逝くが良い! 金龍が一族をあげて炎帝を龍族に知らしめると申しておるのだならな」 「………母者……それは無謀と言わねぇか?」 「無謀だろうが何だろうが閻魔大魔王の弟に手を出したのだ 娶るのは当たり前であろうて!」 天照大神はそう言い高笑いした 天照大神は炎帝を撫でると 「お主は幸せそうに愛されておればよい! 雑務は我が片付けてしんせよう! お主を魔界一の幸せな妻にする! 我は……お主が嬉しそうに笑う日を夢見ておった…… 母は……お前の幸せしか望んではおらぬ…」 「………母者……」 「泣くでない……」 天照大神は炎帝の涙を拭った 摩利支天は閻魔の邸宅に来くると、蜃気楼に傷を移して…… 体躯の傷は取って貰った 金龍妻の銀龍、黒龍、地龍と共に閻魔の邸宅にやって来ると摩利支天を掴まえて…… 見合いの算段に入った 朱雀は………金龍に下手に近付くのは止めとこう……と心に誓った でないと熱血な血が世話焼きな見合い魔になりそうで…… 摩利支天を影から見て…… 拝んどいた 摩利支天……すまねぇ… 朱雀は矢面に立たされた摩利支天に心の中で謝り……人陰に隠れた 金龍の勢いは止まらず…… 湯治場に一族集めたとのたまった 朱雀は……閻魔の邸宅に残る算段をした 流生が「ひょーろーきゅん どーちたにょ?」と問い掛けた 「流生、お庭に狐いるんだぞ?」 「きちゅにぇ?」 「わんわんみてぇなもんだ 厩舎に行けばガラの悪い喋る馬もいるぞ? 天馬はツンデレだけど子供には優しいぞ?」 音弥が兵藤の首に抱き着いて甘えた 流生や翔、太陽と大空も兵藤に抱き着いて甘えていた 「きちゅにぇ みゆ!」 流生が言うと兵藤は 「炎帝、子守は心配するな! 慎一も隼人も司命もいるからな! 俺も子守してやるし、お前は逝って来い!」 そう言い送り出してやった 逝き際炎帝は兵藤の足を思いっ切り踏み付けた 「いっ………でぇな!」 「面倒から去りてぇってのが見え見えだよ!おめぇはよぉ!」 「……龍の一族総勢なら逢いたくねぇのもいるんだよ!」 「………朱雀は龍は苦手か?」 「………違う……龍が苦手なんじゃねぇ 苦手な奴がいるんだよ!」 「………誰よ?」 「………迦楼羅……」 「かるら……苦手なのかよ?」 「………何かにつけて文句を言って来るんだよ……」 青龍は不思議な顔をした 「………迦楼羅は……誰よりも静かな神です」 「俺には何時もイチャモン言って来るぜ?」 「………なら君が特別なんでしょ?」 「………特別じゃなくて良いから放っておいて欲しいんだよ俺は!」 「………天竜八部衆の一柱でしたね…… 天竜八部衆は壊滅的に減ったのでしたね」 「………だからな天龍を銀龍に産ませて、天龍八部衆はを作ろうと試みた…… ………オレも迦楼羅には恨まれてるかもな…」 炎帝はボソッと呟いた 朱雀は炎帝に「ならお前も残れ」と悪魔の囁きをした それを聞いた金龍が朱雀にゲンコツを入れた 「んとに、この子は……炎帝が来ねば一族総勢集めた意味がないではないか!」 と金龍は怒った 「………誰一人異議は唱えなかったのかよ?」 朱雀は疑問をぶつけた 「前は……確かに異論はあった…… 認めるなら龍族から抜けると言う話を出た だが炎帝と青龍が入れ替えようのない存在だと解ったら…… 青龍が還るなら……閻魔は青龍にそれなりの地位は用意するであろう 弟婿になるのだからな…… 閻魔は宣言した 炎帝の夫は未来永劫青龍だと…… だとしたら青龍は変わらぬ駒に収まった 龍族がどんな異議を唱えようとも……覆らない現実ならば…… 我ら龍族は歩み寄るしかないではないか! 青龍は我が子だ だが……我は龍族の長だ 皆が反対するなら…我が子でも切るしかない ………それが現実だ…… 元より…青龍はそんな事は承知で炎帝と共に逝ったのであろう…… 我は私情は一切挟まず長に徹した その結果みちびきだした答えだ 龍族が炎帝を認めぬのならば…… 閻魔は……最悪龍族を切る覚悟だろう…… 龍族なくしても魔界は維持できる 次代の閻魔もその道を逝くのだろう…… なれば、我ら龍族は魔界から出て何処へ行く……と言う話になった…… 今更……魔界から出て何処へ行くと言うのだ? 行きたい奴は出て行けば良い 我は龍族の長として……魔界に残る決断をした 我は魔界が好きだ! 今更……我らの地を求めて何処へ行くと言うのだ? ………確かに………出て逝った奴はおる 迦楼羅は……真っ先に出て逝きおった 傀儡が魔界を統治するのは許せん……と残し……出て逝きおった だから迦楼羅は存在せぬ 天竜八部衆は一柱遺らず魔界から消え去った! だから天龍八部衆を作ったとしても…… 誰一人異議など唱えぬ そうであろう炎帝!」 金龍は炎帝に話をふった 「まぁオレが傀儡なのは嘘じゃねぇからな… 迦楼羅達天竜八部衆は炎帝を創るのにも反対した奴等だからな…… 今更……天竜八部衆は……再現など出来ねぇ…… 元の体躯がねぇのに…… どうやって創る気なんだよ? と、オレは謂いてぇけどな……」 炎帝はそう言い皮肉に鼻で嗤った 「と言う事で我等は覚悟を決めた 魔界で生きて逝くと決めた以上は魔界のルールに従う! 法皇青龍の輩出……我等の悲願を…… この目にする……その為だけに我等は生きて来た! 龍族から揺るぎない存在を輩出する それが明日の龍族の支えとなる!」 青龍の存在こそが…… 八仙の予言した存在なのだ……… 婚姻が続かないと聞いた時……法皇は夢と終わると想った だが青龍は絶対的存在を手に入れ結ばれた ある意味……龍族の希望は先に続いた同然となった 炎帝は嗤っていた 「………金龍、黙って引く奴じゃないのは覚えとけ……」 炎帝が謂うと金龍は 「覚えておきますが……今宵は忘れます! 流生達も来てるとお聞きしました 早く片付けて流生達と遊びたい! 炎帝と青龍の子だ! 我等の初孫ではないか!」 「なら可愛がってやってくれ」 「当たり前です! 炎帝と青龍はそのまま湯治してれば良いです! 我等は勝手に遊んでますから!」 無茶苦茶な言い分だと笑った 金龍達と湯治場へと向かった やはり朱雀は留守番で、慎一と隼人と司命も留守番となった 湯治場に逝くと、既に龍族は湯治場に来ていて、一族総勢で出迎えた 炎帝の足取りは揺るぎない 真っ直ぐ風を切って歩いていた 金龍が一族の前に立つと、深々と頭を下げた 「炎帝、青龍との婚姻 一族総勢を上げて受け入れさせて戴きました!」 と炎帝に告げた 炎帝は何も言わなかった 青龍は炎帝を護って立っていた 龍族が炎帝を受け入れた瞬間だった 金龍は炎帝に「お言葉を!」と問い掛けた 炎帝は「要らねぇだろ?」と嗤った 金龍は「………炎帝……」と呟いた 「金龍、頭と心は別物だとオレは想う 頭では龍族の為と理解してても…… 心は龍族の誇りはそこまで地に堕ちてなどおらぬと想う輩がいる! それを押さえ付ける気はねぇからな! 俺は何も言わねぇ事にした 青龍は我が伴侶! それは未来永劫変わる事はない! 青龍に手を出せば……オレは生かしてはおかぬぞ! オレの焔は無に返すだけの能無しじゃねぇ 苦しめていたぶって……死なぬ程度に何年も焼き尽くしてやろうか? 転生などさせるものか! 地獄に堕ちる方が楽だと言わせてやるぜ! 炎帝を認めずともよい! 青龍を諦めればいいだけだ!」 炎帝は言い捨てた 金龍は……茫然自失となった ………何故今……その様なことを言われるのか……解らなかった 龍族は納得逝かぬまま……解散した 金龍は炎帝に怒りを収めぬままに突っ掛かった 黒龍が金龍を押し留めた 「黒龍……退け!」 「親父殿!止めろ! 親父殿でも炎帝に手を出せば…… 黙ってはおらぬ!」 「……龍族は炎帝を迎え入れて変わる筈だったのに……」と落胆を隠せなかった これは序章にしか過ぎなかった この先龍族はかなり険し道を逝くしかなかった………が、それは別の話で 親子げんかを余所に青龍と炎帝は温泉に入っていた そして炎帝の邸宅へと龍は飛んでいった 金龍は銀龍とイチャイチャに突入して 黒龍と赤龍は……閻魔の邸宅に帰ってきた 朱雀は二人を出迎えて 「大成功……だったかよ?」と問い掛けた 「 炎帝が挨拶もしなかったからな……親父殿はキレて……大変だった 湯治してぇのは俺達だな赤龍……」 黒龍はボヤいた 朱雀は「で、その問題の炎帝はどうしたよ?」と問い掛けた 「龍になって湯治中に盛って炎帝の邸宅へと飛んでいった……今頃最中だ……当分行くなよ……」 「お!やっとこさ犯れる程になったのかよ?」 朱雀の声は喜んでいた 「………お前…遙か昔から炎帝……愛してたよな? 妬けないのか?」 「………そんは気持ち遙か昔に消えたな 妬くとかそんなんじゃなく、俺はアイツが幸せならそれで良い ずっと怪我してから犯ってねぇからな…… 青龍が犯れる様になったのなら…… 炎帝はまた幸せそうな顔するからな それで良いんだよ?なっ赤龍!」 俺にフルなと赤龍は嫌な顔をした そして子ども達と遊ぶ 「ひょーろーきゅん」 翔が声をかけた 「なんだ?」 「なにかいいきょとあったにょ?」 「あぁ、お前達といられるからな、めちゃくそ凄くねぇか?」 朱雀は笑って翔の頭を撫でた 波瀾万丈な魔界での出来事を想うと…… 先が思いやられた 赤龍は「………炎帝だもんな……静かには終わらねぇか……」と呟いた 朱雀も「………常に嵐を呼び膿を出し切るからな……今回も穏便にはいかねぇだろうな…」とボヤいた 司命も「………ですね……ですがそれが炎帝です!膿を出し切る時に来てるのでしょうね 魔界は変革期を終えて変わらねばなりませんからね……」と先を想い……呟いた 何かがおこる それは炎帝が視えていた先なのか…… 解らないが…… 還るまでには何かあるだろうと……解っていた 黒龍は「………来たばかりで……これだからな」と独りごちた 子閻魔も生意気そうだし…… 問題は山積み…… 閻魔の邸宅の使用人も……返事もしない奴がいたりする 誰を主と仕えいるのやら…… 朱雀は「どうするよ?炎帝……」と呟いた 湯治だけで来ている訳じゃなさそうだと 感じていた そんな思惑は余所に…… 子ども達は無邪気で可愛かった 「ひょーろーきゅん にゃまいき ちゅぶちゅ!」 音弥は物騒な発言をしていた 「………おい……音弥……」 魔界に…… 来たばかりだった

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