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第136話 夜景

康太はTVで赤レンガ倉庫のクリスマスツリーのニュースを見ていた 西野カナ プロデュースのクリスマスツリーが取り上げられていた 康太はそれを見て 「綺麗だな」 と呟いた 榊原は「行きたいですか?」と問い掛けた 康太は頷いた 「では、今夜、見に行きますか?」 「いいの?」 「康太が見たいなら僕は何時でも見に連れて行ってあげます!」 「伊織……嬉しい……」 康太はニコッと笑った 榊原は康太を抱き締めて口吻けた 「愛してるかんな伊織……」 「僕も愛してます奥さん」 「オレ……伊織を愛して良かった…… 幾度生まれ変わっても……オレは青龍の傍にいてぇ……」 榊原は康太を強く抱き締めた 「僕も君を愛せて良かった 君をちゃんと見付けられて良かった 僕の夢の中に何時も前世の自分が出来来ました 前世の自分はちゃんと炎帝を恋人に出来るか……不安で何時も恨みがましい瞳で僕を見てました 初めて結ばれた日…… 前世の自分は涙を流して喜んでました……」 康太は榊原を見た 「………前世の自分?……夢で見たの?」 「物心つく頃から見てました」 「…………何で前世の自分だって解る?」 「成長すればする程に…… 僕の顔は夢の中の彼に似て逝くのです…… そして恨みがましい瞳してる顔なんて…… 僕そのものですからね」 「………オレの青龍だ……」 「ええ。君の青龍です」 抱き合いキスを交わす…… 二人は時間の許す限りイチャイチャした 仕事を終えると榊原は康太を誘って一緒に帰る事にした 飛鳥井の家に一旦帰って車を置いて出掛けた ラッシュ時の電車は潰されそうで…… 「……伊織……お尻触られた……」 と痴漢に遭い……泣きたくなったが…… 「康太、僕が護ります!」 と痴漢の手を掴み睨みを効かせた 「突き出されたいですか?」 睨んで言うと………痴漢はスタスタ逃げた 榊原は康太を抱き締めて守った そして関内で電車を下りた 関内から大桟橋の方へ歩いてゆく 夜だし…… 暗いから手を繋いだ 榊原は歩く速度を落とし、康太と歩調を合わせてくれた 繋いだ手を榊原のコートの中へ入れた 康太は榊原を見上げた 「浜風は冷たいから……手が冷えてしまいます」 「伊織の手……冷たい…」 「康太が暖めてくれるのでちょうど良いです」 榊原は笑った キラキラとクリスマスイルミネーションが光る 康太は目を輝かせていた 手を繋いで赤レンガ倉庫へと向かった 「寒くないですか?」 「大丈夫だ伊織……」 「足、痛くないですか?」 「………伊織と一緒だから大丈夫」 康太は榊原のコートに顔を埋めた 榊原は笑って 「康太のお鼻……真っ赤ですよ?」 と赤い鼻に口吻けた 赤レンガ倉庫へ逝くと クリスマスイルミネーションが綺麗に点灯していた 榊原は康太の手を繋いだまま…… TVでやっていた西野カナ プロデュースのクリスマスツリーの前に来た 康太は笑って 「伊織、前に立てよ」 と榊原に言った 榊原はツリーの前に立った 康太は何枚か写真を撮った 「今度は康太を撮ってあげます」 榊原が言うと康太は携帯を榊原に渡した 本当なら……ツーショットを撮りたい だけど……男同士だもんな…… ツーショットなんて撮ってくれないか…… 康太はツリーの前で笑っていた 横にいた女の人が 「撮ってあげましょうか?」と声を掛けてきた 「………え?……本当に?」 「せっかく来たんだから一緒に写しなさいよ」 「お願いします」 榊原はそう言い康太の横に立った 女の人は「笑って!」と言うとシャッターを切った 「撮れてなかったら嫌だもんね あと何枚か撮ってあげるね!」 そう言うとかけ声を掛けてくれ、何枚か撮ってくれた 撮り終えると女の人は携帯を榊原に返してくれた 榊原は「ありがとうございました」とお礼を言った 女の人は笑顔で「一年に一度の記念だもんね!」と言い手を振って人混みに紛れた 康太は榊原を見上げた 「……嬉しい……」 「僕も嬉しいです ツーショットは待ち受けにします そして写真立てに入れましょうね」 「………伊織……」 「ランドマークまで足を伸ばしましょう その前に、食べたいのを買ってあげます」 康太は並んでいる屋台を見て、食べたいものを榊原に強請った 榊原は買いに行き、康太に渡した そして手を繋ぎ……桜木町の方へ向かった ワールドポーターズの前のイルミネーションを見ながら歩いた 人もまばらで……暗いから手を繋いでも…… 怪しまれない 川辺を見ながらコスモワールドを超えて、クィーンズスクェアーへと向かう クィーンズスクェアのクリスマスツリーを眺めて 写真を撮った すると、此処でも横に立っていた警備員が 「一緒の処を撮ってあげましょうか?」 と声を掛けてくれた 榊原は康太の携帯を警備員に渡した ツリーの前で笑顔の二人がいた 警備員はそんな二人をカメラに収めた 警備員にお礼を言って、歩く 途中でカフェに入りお茶とケーキを食べた ランドマークに逝くと、今年のツリーは 「福山雅治やん」と康太は言った 「………ですね」 「男前だよな……結婚したんだっけ?」 「………康太、僕の方が男前……じゃないんですか?」 「え?……伊織……」 「康太は福山雅治の方が好きなんですか?」 「………伊織が好き……」 康太は真っ赤な顔で……そう言った 榊原は気をよくして 「では、このツリーはいいですね! 康太、帰りますよ!」 「………え?写メ……」 「僕を撮るなら良いですよ?」 ニコニコ笑っているが…… 自分以外の男を褒めたり、写メを撮るのは許せない榊原だった 「伊織、帰り映画見ようか?」 「………チケット取ってませんよ?」 「そっか……チケットねぇと直ぐには見れねぇよな……」 「何処か行きたい処ありますか?」 「コスモワールドの観覧車……乗りてぇ……」 「ランドマークタワーの展望台じゃなくて良いんですか?」 「………そこまで高いのは……」 榊原はクスッと笑った 「康太は高いところがあまり好きじゃありませんものね」 「青龍に乗るのは好きだぜ? オレは青龍に乗ってる時は怖いと想った事はねぇんだ」 「嬉しいです……」 「観覧車、乗ろうか?」 「ええ。行きましょう」 榊原は康太と手を繋いだまま、コスモワールドの方へと歩き出した コスモワールドへ行き、観覧車のチケットを買って並んだ 空いててすぐに順番が来た 康太と榊原は係員に扉を押さえて貰って観覧車に乗り込んだ ゆっくりと観覧車は上がっていった 「伊織、綺麗だな……」 「ええ……綺麗ですね」 「伊織……キスして…」 康太が言うと榊原は康太を膝の上に乗せた そして口吻けた 冷え切った唇に……暖かな口吻けが落とされ…… 康太は榊原の舌を吸った 口腔を暴れるように……搦まり縺れ合い…… 接吻を堪能する…… 「部屋を取りますか?」 「飛鳥井に帰ろう……伊織」 「では観覧車を下りたら帰りましょう 帰りも地下鉄で帰りましょうか?」 「ん……伊織と歩くのは嬉しい……」 「僕も嬉しいです」 「………もうじきクリスマスだな」 「ええ、今年は一生がトナカイ、慎一がサンタをするので、君は何をやりますか?」 「今年は子供達と楽しみまくるかんな! だから何もなくて良い……」 「なら僕も何もなくて良いです 君と子供達と楽しみまくります」 「週末に此処に連れてきてやるか?」 「いいですね!喜びますね」 「もう少し大きくなったら遊園地に行こう」 「ええ。行きましょう! 楽しみですね」 「ん……来年も再来年も…… 三年後も五年後も……十年後も……」 榊原は康太の手を握ると……口吻けた 「この命が尽きる瞬間まで……共にいましょう そして……その後も……未来永劫一緒にいましょう」 康太は頷いた そして榊原を抱き締めた キラキラ……康太の胸に輝く宝物の様に…… 榊原との想い出が積もって逝く…… 「伊織……帰ろう」 「ええ。帰りましょう!」 観覧車から下りると、康太と榊原は帰る事にした 手を繋ぎ……家まで帰る帰り道 康太は本当に幸せだった 榊原も本当に幸せを感じていた こんな穏やかな時間もいい

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