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第147話 絆

繋がる想い       先へ逝と続く想い       5人の想いは       強く     明日を信じさせてくれた 流生は康太に画用紙で書いた絵を渡した 「あんだよ?これは?」 「おとたん あげゆ ちぇぎゃみ!」 「音弥にやる手紙……? 音弥に渡しとけば良いのか?」 「ちょう!」 康太は流生から手紙を受け取った 流生が終わると次は翔 「きょれ おとたんにあげゆ」 康太は翔から画用紙を受け取った 「音弥、喜ぶぜ」 康太が言うと翔は嬉しそうに笑った 次は太陽と大空が同時に康太に画用紙に書いた手紙を手渡した 「おっ!二人で書いたのかよ?」 康太が言うと太陽が「ちょう!」と返事した そして大空が「おとたん あげゆ」と想いを伝えた 康太は子供達から受け取った画用紙を胸に抱いた 優しい子に育った 兄弟仲良く 助け合い 兄弟を思い遣れる優しい子に育った 康太が思いに耽っていると 「待て!」と一生が顔中真っ黒にして言った 「………一生、顔……」 「皆まで言うな……コイツのせいだかんな…」 と言い腕の中の烈を康太に見せた 烈も見事に真っ黒けだった 「………あにしたのよ?一生」 「烈も音弥にお兄ちゃん達と同じように渡してぇんだよ!」 「…………烈が?………」 康太は烈を見た すると烈はニカッと笑って…… 親指を立てていた お兄ちゃん達がいるから烈はませたガキになっていた 「烈の野郎……手形を音弥に渡してぇみてぇでな 墨汁を使わせたら……もぉ暴れやがって… 俺まで服をダメにさせられた……… 会心の1枚だ……渡しといてくれ」 「解った……一生、烈と共に風呂に入って来いよ」 「おい……烈を風呂に入れるのは勘弁してくれ…… コイツ……永遠よりも態度も体躯もデケぇからな… 風呂に入れたら遊び倒して出ねぇから嫌だ」 「………烈……かぁちゃと風呂に入るか?」 康太が言うと歯が痒いのかブーブーやりながら笑っていた 「烈……おめぇ伊織に似てんな…… 大空よりも伊織に似るのか?」 康太が言うと汚れた烈を聡一郎に渡して、康太を引き寄せた 「奥さん、僕が一番男前です 君の愛する顔は僕しかいませんよね?」 「当たり前やん! オレの愛するのは青龍しかいねぇ…… 未来永劫の愛を誓うは青龍だけだ」 「康太!」 榊原は康太を強く抱き締めた 一生は「はいはい!それ以上は禁止!」と止めた 「一生、風呂に入れよ」 「解った 烈、誰か入れてやってくれ」 そう言い一生は応接間を後にした 慎一は烈を持ち上げると、風呂へと向かった 聡一郎は「僕も永遠をお風呂に入れちゃいますかね」と応接間を出て行った 康太は翔を膝の上に乗せた 「かぁちゃ……おとたん……にゃいちぇる」 「翔……視るのは良いが共感(シンクロ)すんじゃねぇぞ…… 共感して……知らないうちに飛んだら……命に関わると言わなかったか?」 「………いっちゃ……」 「音弥のことは、かぁちゃととぅちゃがやる 翔は修行を重ねて日々鍛錬しろ!」 「あい!」 翔は返事した 康太と翔の会話は…… 時々容赦がない 見てる方は可哀想になるが…… 誰も何も言えなかった 康太がかなり辛辣にモノを言うと、必ず流生が翔の前へと立つ 「かけゆ わかちぇる!」 「流生、お前には言ってない!」 「かぁちゃ……かけゆ きびちぃ!」 「翔は真贋、お前達とは違う!」 康太は敢えて突き放す言い方をした 「ちょれれも!………」 流生は翔を抱き締めていた 太陽と大空も近寄って翔を抱き締めていた 音弥がいたなら一番に翔に抱き着くだろう…… こうして……この兄弟は生きているのだから…… 「翔、修行は命に関わると覚えておけ! お前が未熟だと……それは即ち、命を落とす事になる!」 翔は流生や太陽、大空の腕を放して一人で立った 「ちゅいまちぇんれした!」 翔は謝った 榊原は翔を抱き上げた 「翔、力は……命を削ってしまうのです 康太も幾度もその命……削って生きてます だから厳しく誤らない様に正しているのですよ……」 お前が嫌いだからじゃない…… お前を愛しているから… 誰よりも厳しく躾けるのだ 榊原は康太の想いを翔に伝える 横で聞いてる兄弟に伝える 少しの……疑念も抱かせない 抱けば遺恨として遺るから…… 遺恨を抱かせれば今後の修行に陰を刺す…… 誰よりも愛して 誰よりも静かに見守り…… 榊原は子供達を抱き締めて諭す それが自分の役目だと榊原は想っている 康太が誰よりも厳しい鬼になるなら……… 自分は誰よりも優しく子供達を包み込み愛そう…… 飛鳥井瑛太が全身全霊かけて康太を護った様に……… 自分も身を捨てて子供達に愛を教える 「とぅちゃ……らいじょうび……」 「翔……僕達は君達を愛しています 誰よりも愛しています……」 「とぅちゃ……らいちゅき かぁちゃ……らいちゅき かけゆ わかっちぇるきゃら……らいじょうび」 強いと想う 翔の精神力は子供じゃない…… 試練に打ち勝ち 日々鍛錬して生きている 日々の修行の積み重ねで打たれて 翔は日々鋼のように強く撓る 曲がらず 真っ直ぐに育てる 康太と榊原の……愛だった 飛鳥井の家族と榊原の家族の愛だった ずっと見守り続けてくれる仲間の愛だった 一生が風呂から上がって応接間に来ると、雰囲気は変わる 「お!どうした?」 一生は翔を抱き上げた 「どうもちにゃい!」 翔は何時もそう言う 「明日、音弥の処へ連れて行ってやろうか?」 「ほんちょ?」 「だから、もう視るんじゃねぇぞ?」 翔はクシュンとして「……わかっちゃ……」と答えた 「お前に何かあったら頑張ってる音弥は悲しむぞ? 流生や太陽や大空も烈も、悲しむぞ かぁゃやとうさんも悲しむ ばぁちゃやじぃちゃ、ばぁたんやじぃたんも悲しむ……解ってるか?」 翔は頷いた 「そっか!翔は良い子だ!」 一生は翔の頭を撫でた 翔は一生に「かじゅ あいちてりゅ」と言った 「おい!そんな言葉……何処で覚えたよ?」 「とぅちゃ いちゅもいっちぇる」 一生は榊原を見た 榊原は苦笑して 「愛が溢れすぎているのです許しなさい!」 と康太を抱き締めた 子供達は仲の良い親を見てご機嫌だった 太陽は「とぅちゃ かぁちゃ いちゃいちゃちてにゃいとらめ!」と大人顔負けの言葉を放った 「その台詞……誰が言ったのよ?」 太陽は笑って「みんにゃ!」と答えた 大空も「とぅちゃ かぁちゃ らぶゅらぶゅ」と言い放った 「おい……それって誰が教えた?」 「ねぇやん!」 「ねぇやん?それって誰よ?」 一生は康太に問い掛けた 「綺麗の事だ……あいつ、おばちゃんと言わせない為に姉さんって呼ばせようと目論みやがった……」 なるぼど……と一生は納得した 康太は笑っていた 子供達も笑っていた 例え……明日……死のうとも…… 想いは繋がれる 絆は途絶えない 絶対の絆 だった 康太の周りにいる者達と 家族や仲間 そして翔達兄弟の絆だった それは揺るぐ事なく明日へと続く…… 強固な絆だった 一生は翔を抱き締めた 曲がらせない…… 絶対に曲がらせない 心に誓い 見守ると決めたのだ 康太は子供達の手紙を一生に見せた 画用紙には家族の絵が描いてあった 離れて暮らす音弥が淋しくない様に…… 家族の絵が描いてあった とぅちゃ かぁちゃ ばぁちゃやじぃちゃ じぃたんやばぁたん  一生や聡一郎、隼人に慎一、兵藤もいた そしてコオとイオリ……あずきも描いてあった 一生はその画用紙の手紙を見て笑った
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