156 / 163

第156話 止めてっ‥‥

『いやっ……止めてっ……』 コオは震えていた 『イオリ……助けてぇ……』 コオは精一杯……哀願して助けを求めた イオリは『コオ……コオ…』と叫んだ ウゥゥゥ~ワンワン! 威嚇して吠える でもそんな事はお構いなしでコオは腕を掴まれた 男はコオを押さえた 「動いちゃダメだよ…」 『助けて……』 うるうるした瞳が男に向けられた 力ずくで…… コオは押さえつけられていた 男の手が…… コオの体躯を弄る 『……やだよぉ……助けて……』 コオはキュンキュン鳴いていた イオリは押さえ付けられ…… そんなコオを見せ付けられていた 『……許さない……僕のコオを…』 イオリは怒り狂っていた 『痛いっ……ゃん……痛いよぉイオリ……』 コオがキャンキャン鳴く 「騒がないの……もっと痛くなるよ?」 『ゃん……だめぇ……いや……』 コオは鳴いて訴えた ブスッと太いのが突き刺さった 『あぁっ……痛い……止めてぇ……』 男は抜くとコオを抱き上げた 「良い子だったね」 頭を撫でられた 「次はイオリの番だね」 男はコオを離すとイオリを掴んだ ベッドに押し倒されて…… 体躯を弄られた…… 『やめ……触るな!』 イオリは反抗的に牙を剥いた 「お人好しの顔が台無しだよ? そんなに痛くしないから……」 男はそう言いイオリを突き刺した 「…うっ……痛い……」 イオリはコオに助けを求めた コオは鳴きながら 『イオリ……イオリ……』と名前を呼んだ 男は抜くとイオリを抱き上げた 「良い子だったね」 頭を撫でられた 男は康太に向き直った 「触診と予防接種終わりました 年取ってるからねコオは、爪とか肛門とか見てみたけど大丈夫だったよ」 コオとイオリを押さえ付けてた男の名前は 一ノ瀬聡哉 獣医だった 一ノ瀬動物病院の院長はニコニコと笑いながら検査結果を伝えた 「悪かったな 予防接種やんなきゃならなかったからな コオが体調崩してたからな一緒に頼んじまった」 「別に良いよ 僕はコオとイオリを診られて嬉しいんだから! コオには長生きして欲しいからね」 聡哉はそう言い笑った 「あずきは二匹に懐いてるからな 親と想ってるみてぇだから余計に長生きさせてぇからな」 「長生きさせるよ! そんなに簡単に逝かせる訳ないじゃない!」 「春になったら黒いラブラドールが来るからな 一度診てくれねぇか? 年だからな……亡くした後がオレは怖い……」 「幾つくらいなの?」 「………もう10年は経ってるだろ? オレが朝宮にやった真っ黒のラブラドールだかんな……」 「………10年か……犬の年齢だと高齢だね」 「トリプルカズキで生きて来たからな……」 康太はそう言い胸を押さえた 「お話し……させて下さい 大切な命には限りがあると知ってますよ……きっと…」 「春になったら連れて来る……」 「ボスと逢ってやって下さい」 「楽しくなるな」 康太はそう言い笑った イオリはコオを舐めていた コオもイオリを舐めていた あずきは二匹を舐めて、心配そうな顔をしていた 『大丈夫だよ、あずき』 コオはそう言い前足であずきを引き寄せた イオリは二匹を舐めた 聡哉はそんな様子を見て 「家族だね」と呟いた 「悔いのねぇ日々を送らせてりてぇな」 そう言うと聡哉は「そうだね」と言いボスを想った 家族 だから 家族として日々生きてるから…… なくしたくないと想う

ともだちにシェアしよう!