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蛇の目でお迎え(9歳と11歳の話)義兄目線
傘を忘れた義弟は学校の玄関で本を読んで待っていた。
「珍しい、忘れるなんて」
そういう時もあります、と受け取る姿に何故かくすぐったいような気持ちになる。
近道だからと先を歩く義弟についていけば、雫の下で艶を増した紫陽花が飛び込んだ。
丸っこい形に密集した花々が、雨に打たれて揺れる姿が可愛らしくて、笑みが溢れる。
こんなところ知ってるなら教えてよと冗談で詰れば、義弟は無言で前を向いてしまった。
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