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第11話
篠延 八尋side
ちゃんと最後まで出来た…。気持ちよさそうな顔可愛すぎる…。良かった、ちゃんと気持ちよくなってくれた…。俺も初めて気持ちよかった…。
後処理をして、ベットも綺麗にして、優を抱きしめて眠った……。次の日の朝、優は居なくなってて、その日以来優に避けられている気がする…。
「なぁ、七瀬…。俺なんかしたかな…」
「それを俺に聞くか?俺が恋人いたことないの知ってるだろ…」
「だってぇ……。もう一ヶ月だぞ?…なんで俺避けられてるんだ…」
彼は浅倉 七瀬(あさくら ななせ)。両方とも名字かって突っ込みたくなる名前だなぁと初めの頃は思った。幼馴染で小学校から同じだからほぼ兄弟みたいなもんだ。
彼にはなんでも相談したし、彼も俺になんでも相談してきた。持ちつ持たれつ、程々の距離で良い関係を保ってきた。
「なぁ、あれって…。お前の恋人じゃないのか?」
「…え?……本当だ…」
「お前ふられたのか?」
「………いや、…そんなわけ……」
優が他の人と一緒にいて楽しそうにしてる…。あの笑顔…、俺の前でしか見せないと思ってたのに…。黒い感情が渦巻く…。落ち着かなきゃいけないのに、全然落ち着けない…
今すぐにでも優のところまで走っていって、彼から優のことを取り返したい…。優は俺のだって言いたい…
「ちょっと聞いてきてやろうか?」
「…お前、優の隣にいる奴がタイプなだけだろ」
「そうだけど?…まぁ、お前のへこんだ姿は好きじゃねぇし。ちゃんと聞いてきてやるから待ってろよ」
「……ありがと」
「素直にお礼を言うなんて、明日は雪か?」
「言ってろ…」
「そんなに落ち込むなって…。待ってろよ」
そう言って頭をポンポン撫でてから優の元に行ってしまった…。一人取り残されると不安で泣けてしまいそうで、珈琲を買って飲む。
俺、何かやったかな…。全然身に覚えが無いんだよな…。あるとすれば、最後に会った日に、少し快楽攻めにしてしまったかなぁ…と思うくらいで………。嫌だったのかな……。でも、なぁ……、二人で気持ちよくなりたかったから、優が気を失ったあとは一人で処理してた…。そろそろ限界だったんだもん……
「泣けそ……。優、お願いだから戻ってきて…」
涙を堪えながら静かに座って本を読むフリをした……。実際には読もうときたけど何も頭に入ってこなかったのだ…。
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