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第12話

浅倉 七瀬side よっぽど追い詰められてるんだな…。俺がいなくなった瞬間、机に突っ伏し、落ち着きなく起き上がったと思えば、のんびりした風に珈琲を飲んでる。 「ねぇ、少し話いいかな?」 「えーっと……」 「優、知り合い?」 「いや……、知らない……」 「優に絡まないでくれます?不愉快なんですけど」 「その事で話したいんだけど、八尋の事聞きたくない?」 「……聞き、たい」 この子、永見とは正反対じゃん…。なんで一緒にいるんだ?って怖っ…!なんでこんなに喧嘩腰なの?俺なんかしたっけ?? まぁいいや、強気な子が啼くところが好きなんだよね。この子落とそう…って言っても上手くいったことないけど…。頑張ってアピールしてこ! 「何か飲む?奢るよ?」 「知らない人から物をもらうなって教えられてるので遠慮します。もちろん、優にも与えないでください。変な薬混ぜられたりしても嫌なので」 「……あっ、そっか…!名前名乗るの忘れてた。俺、八尋の幼馴染で、七瀬。ななちゃんって気軽に呼んでよ」 「…僕は、瑞原です」 「えーっと……」 「あ、君のことは八尋から聞いてるからいいよ」 悔しそうな顔…。名乗った人には自分の名前も言うってルールを守ってる感…。この子はきっと色んなものに縛られてるんだろうな…。俺とはきっと逆なんだろな… 「最近、八尋のこと避けてるのよね?なんで?」 「あの、僕、もう、八尋の近くにいる資格、ない…。だから……会えない…」 「なんでそう思うの?八尋、君に会えなくて寂しそうだよ?」 「僕にはもう何も無い…」 えーっと…、ちょっと言ってる意味が分からないけど…。どうやら本当に拗れてしまっているみたい…。ちょっとした喧嘩程度かと思ってたんだけどな…。 こう言う場合は本人たちの話し合いが圧倒的に足りないから。ちゃんと話合わせるのが一番だよね。 「それならさ、今日うちに遊びに来ない?少しお話ししようよ!」 「……うん…」 「……っ!なら、僕もご一緒してもいいですか……。優だけでは行かせられません。…何か手違いがあってはいけないので」 全員で会う約束を取り付けて、瑞原と俺は途中で抜けよう。この計画が上手くいけば俺も恋人が出来るかもしれない。

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