12 / 25
第12話
浅倉 七瀬side
よっぽど追い詰められてるんだな…。俺がいなくなった瞬間、机に突っ伏し、落ち着きなく起き上がったと思えば、のんびりした風に珈琲を飲んでる。
「ねぇ、少し話いいかな?」
「えーっと……」
「優、知り合い?」
「いや……、知らない……」
「優に絡まないでくれます?不愉快なんですけど」
「その事で話したいんだけど、八尋の事聞きたくない?」
「……聞き、たい」
この子、永見とは正反対じゃん…。なんで一緒にいるんだ?って怖っ…!なんでこんなに喧嘩腰なの?俺なんかしたっけ??
まぁいいや、強気な子が啼くところが好きなんだよね。この子落とそう…って言っても上手くいったことないけど…。頑張ってアピールしてこ!
「何か飲む?奢るよ?」
「知らない人から物をもらうなって教えられてるので遠慮します。もちろん、優にも与えないでください。変な薬混ぜられたりしても嫌なので」
「……あっ、そっか…!名前名乗るの忘れてた。俺、八尋の幼馴染で、七瀬。ななちゃんって気軽に呼んでよ」
「…僕は、瑞原です」
「えーっと……」
「あ、君のことは八尋から聞いてるからいいよ」
悔しそうな顔…。名乗った人には自分の名前も言うってルールを守ってる感…。この子はきっと色んなものに縛られてるんだろうな…。俺とはきっと逆なんだろな…
「最近、八尋のこと避けてるのよね?なんで?」
「あの、僕、もう、八尋の近くにいる資格、ない…。だから……会えない…」
「なんでそう思うの?八尋、君に会えなくて寂しそうだよ?」
「僕にはもう何も無い…」
えーっと…、ちょっと言ってる意味が分からないけど…。どうやら本当に拗れてしまっているみたい…。ちょっとした喧嘩程度かと思ってたんだけどな…。
こう言う場合は本人たちの話し合いが圧倒的に足りないから。ちゃんと話合わせるのが一番だよね。
「それならさ、今日うちに遊びに来ない?少しお話ししようよ!」
「……うん…」
「……っ!なら、僕もご一緒してもいいですか……。優だけでは行かせられません。…何か手違いがあってはいけないので」
全員で会う約束を取り付けて、瑞原と俺は途中で抜けよう。この計画が上手くいけば俺も恋人が出来るかもしれない。
ともだちにシェアしよう!