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第14話
永見 優side
………なんで、八尋がいるの……??
頭の中は真っ白。何も考えられず、ただ呆然と立ってた。八尋が近づいてきて、少しビクッとしてしまうと、悲しそうな顔してる…。
「俺、やっぱりなんかした?ごめんな…。全然身に覚えがなくて…。そんなに嫌がるような事したのに何も覚えてないって最低だよな…」
「…っ!?…ちがっ、えーっと…、その…。あんまり近づかれるとあの日のこと思い出しちゃって……。身体がゾクゾクするの…だから、駄目…」
「「は??」」
八尋はキョトンとしてて、七瀬さんと冬夜は思わずといった感じに "は?"って言ってきた…。だって仕方ないじゃん…。凄く気持ちよくて、何度も何度も思い出して近づけなくなってしまったんだもん…。
「何だよお前ら、そんなことですれ違ってたの?くだらねー。さっさと仲直りせっくすでもしてこいよ」
「と、冬夜!?…な、なんか、キャラ違う!」
「こっちが素。とりあえず仲直りおめでと」
「あ、ありがと…??」
冬夜の変わりようにめちゃくちゃ動揺した。八尋は、ようやく思考が再開したのかガバッと抱きついて来てそのまま、僕の手を引いてどこかに引っ張られる…
「七瀬さん、ありがと。また相談乗ってください。と、やも!ばい、ばい!……待ってよ、八尋ー!早いっ」
「…っ!悪い、七瀬!ありがとな!また礼する。こいつ連れて帰るな。またな!」
八尋に連れられて、家に帰る。久しぶりの八尋の家。見たことない大きいぬいぐる…。気持ちよさそうなふわふわした羊さんだ…!
気がつけばベットに押し倒されてて、抱きしめられる…。もしかして、今からやるのかな…。緊張でギュッと目を瞑ると、大きなため息が聞こえた…。なんだろ、何か間違えた?
「良かった……。嫌われてなくて…良かった……」
「八尋…。不安にさせて、ごめんなさい…」
「優…。俺、すげー、不安だった…。優が戻って来てくれて、ほんとに……ほんとに良かった…」
「八尋…」
僕だって不安だった…。不安で不安で、壊れてしまいそうだった…。八尋の体温が嬉しくて、久しぶりなのに、凄く安心できて…。やっぱり、八尋じゃなきゃ駄目なんだなぁと思い知らされる。
その後、二人とも泣けてしまって、気付いた時には眠っていた…。目が覚めると夜中になってて、夜空には綺麗な月が静かに輝いていた
「八尋…。月が綺麗だね」
「そうだな。…優、今のって、好きって意味でとってもいいのか?」
「……うん…。好きだよ、八尋…。誰よりも八尋のことが好き」
「優から "好き" って言葉が聞けるとは思ってなかったから…。凄く嬉しい…」
やっぱり、バレてたんだな…。何度か好きとは言ったけど、心が篭っていなかったのだろう。僕が好きと言う時八尋は少し寂しそうに笑ってたから…。
「八尋、僕の事大切に愛してくれてありがと…」
「どういたしまして?優の事これからも大事にするから、逃げないでね。今回みたいに逃げられると寂しくなるから…。……そうだ、あのぬいぐるみあげるよ」
「いいの?…何で買ったの?」
「……優に似てるなぁって…思って買ったんだけど。家に帰って抱きしめたら全然似てなかった…」
「……ふふっ…、八尋って、実は馬鹿なの?」
「…かもな。…優の事になると馬鹿になるんだ。だからさ、俺のこと "馬鹿に" しないでね」
「…っ、うん」
一瞬、可愛いと思った。弱った顔、可愛くてドキドキする。無意識にキスをしたら、煽ってしまったみたいだ。まだお風呂にも入ってないのに……。
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