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第一章・8

「顔見て、解らなかったんだ?」 「僕、人の顔を覚えるの苦手なんです」  少年が言うには、名前は知っているけれども顔が浮かばない俳優が、大勢いるらしい。 「個性の強い俳優さんなら、一発で覚えるんですけど」 「例えば?」 「波多野 寛さんとか、日野 翔さんとか、大和田 敬三さんとか」 「そうか、なるほど」  彼らは、イケメンから一歩外れたところにいる。  だが、強烈な個性で輝く俳優だ。  大和田さんなど、何の役をやっても『大和田 敬三にしか見えない』とまで言われるほどの、個性派俳優だ。

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