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第一章・9

 なるほど、とは言ってみたものの、颯真のプライドはどんどん傷つけられてゆく。  震える手でカップを持ってコーヒーを飲んでいると、こんなことまで言われてしまった。 「だから、ただイケメンなだけのアイドルの人なんかだと、全く判んないんです」  思わず、コーヒーを吹きそうになった。  この少年、俺を捕まえて『ただイケメンなだけのアイドルの人』と!?  息子の失言に気づいたのか、マスターが慌ててフォローしてきた。 「お前、大河ドラマ夢中になって観てたじゃないか。主役の『南 慎二郎』は、五条さんだぞ?」 「え!? そうだったんですか!?」 「いや~、参ったね」  時代劇だったから無理もないよ、と颯真は自分で自分をフォローした。

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