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第一章・16

「マスター、ちょっと郁実くんを借りてもいいですか?」 「どこかお出かけへ?」 「新居を、案内したくて」  マスターは引っ越し祝いに、高価なコーヒー豆のセットを郁実に持たせて、外出させた。 「さ、乗って」 「今日は、歩かないんですか?」 「こないだは、仕事だったからね。今日は、プライベート」  高そうな、ピカピカの車だな。  そんなことを考えながら、郁実は颯真の車に乗った。 「……一応これ、ポルシェなんだけど」 「そうなんですね」

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