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第一章・18
そこでマンションに到着し、二人は車を降りた。
27階建ての、億ション。
その最上階に、颯真は家を買った。
「一番てっぺんって、怖くないですか?」
「え? あぁ。いや、高い所、好きなんだよね」
このマンションの価値も、郁実には解らないらしい。
(ええい、この鈍感少年め!)
颯真は、郁実が可愛くてたまらなくなっていた。
これまで自分の周りにいた人間は、こういった颯真を囲むさまざまな物品に、いちいち感嘆の声を上げたものだ。
そして、颯真を評価した。
しかし、この郁実にそれは通用しない。
自分自身の魅力で、真っ向勝負しなければならないのだ。
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