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第一章・22
颯真は、今思ったこと、感じたことを素直に話すことにした。
「美味しいよ、コーヒー」
「ありがとうございます」
本当に、美味しい。
静かに、二人でカップを傾けた。
会話はほとんどないが、穏やかで満ち足りた時間が流れて行った。
「また、会ってくれるかな」
「喜んで」
さて、忙しいこの身。
会えるのは、いつになることやら。
颯真は郁実に、キーを渡した。
「これ、この部屋のキーなんだ。時々上がって、風を通してくれないかな」
「いいんですか?」
「自分の家みたいに、使ってくれて構わないよ」
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