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第二章・12
「郁実くん、作りながら俺のこと想ってくれた?」
「はい」
「五条さん、父親の前で息子を口説くのやめてくださいよ」
ケーキはその場で切り分けられ、美味しいコーヒーと共に颯真を喜ばせた。
「美味い~!」
「残りは、もう少し日を置いてください。風味が増しますよ」
「いや、何かもう。感激で、一気食いしそう!」
ケーキのブランデーに酔ったのか、郁実の頬は少し赤い。
それが妙に色気を醸し、颯真の胸を射抜いていた。
(あぁ、郁実くん。可愛いなぁ♡)
「五条さん、コーヒーのお替りどうですか?」
「ね、郁実くん。俺のこと、『颯真さん』って呼んでくれないかな」
「え、でも」
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