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第三章・2
五条さん、最近何かいいことあったの?
そう周りに言われるほど、颯真はご機嫌だった。
仕事も順調。
撮り直しを何度もやることで有名な監督にも、一発OKばかり貰っている。
(いや~、恋をすると何でもうまく行くみたい♡)
ぅむ、でもまだ、恋未満。
恋人未満。
郁実はまだ18歳の高校生なのだ。
成人した大人の男として、颯真は未成年に言い寄ることは控えていた。
じっと、我慢していた。
(この俺が、我慢するなんて久しぶり)
有名になり、売れっ子になり、周囲がいつもちやほやしてくる。
我慢なんか、しなくてもいい環境にいる。
そんな颯真の、久々の我慢だ。
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