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第三章・11

 ああ、颯真さんの笑顔。  父さんを失った悲しみが、癒される。  体だけではなく、心も温かくなる気がする。 「俺も、お風呂入って来てもいいかな?」 「あ、はい。どうぞ」  颯真がバスを使っている間、郁実は寝室に通されていた。  広い広い寝室に、大きな大きなベッドがある。  悪いな、と思いつつ、郁実はベッドに腰かけた。  そのまま、上半身を横たえた。  どっと、疲れが降りて来る。  うとうとと、眠くなる。  颯真が寝室へ入ってきた時には、郁実は半ば眠っていた。

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