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第四章 誕生日

「白線で一時停止だよ」 「はい」  郁実は、静かにブレーキを踏んだ。  郁実が父を失ってから、時が過ぎていた。  彼が一人で思い出に泣かされないよう、颯真は自動車学校を勧めた。 「仮免許取れたら、一緒に練習しよう」 「はい!」  そして今、郁実は助手席に颯真を乗せて、ポルシェを運転している。  他の自動車が進んで道を譲ってくれるのは、何も『仮免許運転中』の札のおかげだけではないだろう。  ポルシェに傷でもつけたら、大変!  そういう訳で無茶な煽りに遭うこともなく、郁実は目的の場所へと車を着けることができた。

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