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第四章・11

 答えを出せないまま、颯真はバスルームから出た。 「ずいぶん長かったですね」 「う~ん。のぼせちゃったよ」  冗談めかしてそう答え、颯真はドライヤーを手にした。 「颯真さん、僕が乾かしますよ」 「いいの?」  初めてのことだ。  颯真はドキドキしながら、郁実に髪をまかせた。  まるで、少年の頃の初恋を再び味わっているかのよう。  郁実に触れられることはとても心地よく、颯真は眼を閉じて浸った。 「颯真さん、起きてますか?」 「大丈夫だよ」  髪が整い、いよいよ二人はベッドへ向かった。

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