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第四章・13
「颯真さん、時々眠ってる僕に、キスしてたでしょう」
バレてたのか!
颯真は、顔から火が出る思いだった。
「いや、あの。あんまり寝顔が可愛いもんだから……」
「これまで、いえ、今日もこんなに親切にしてもらって。だから僕、恩返しがしたいんです」
え?
恩返し?
「郁実くん、俺が欲しいのは恩返しじゃないよ」
君の、愛が欲しい。
颯真は、真剣にそう言った。
映画やドラマの中でしか使ったことのないセリフを、郁実に贈った。
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