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第五章 初めての夜

 柔らかく、温かなキスをした。  颯真は、これまでいろんな人間と身体を交えてきたが、郁実に対してはそれらの全てを封じた。  テクニックではなく、真心で。  過去に、誰かと付き合ったことがある、と言った郁実。  きっとセックスもしただろう。  だが、初めての少年に接するように触れた。  優しく、穏やかに。  欲しくてたまらなかったものが、ついに手に入るのだ。  気持ちは昂っていたが、ぐっと抑えた。

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