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第五章・3

 子どもじみた颯真の心中も知らず、郁実は郁実で胸を締め付けられる思いだった。  有名な、売れっ子俳優の颯真さん。  きっと、大勢の人と恋をしたに違いない。  大勢の人と、ベッドを共にしたに違いない。  そう考えると、自分から誘ったことがひどく恥ずかしくなってきた。 「颯真さん、もし嫌だったら、これでもう眠っても……」 「え? 夜はこれからじゃないか」  恥ずかしいのかな、と颯真は郁実の肩を抱き、そっとベッドに横たえた。 「嫌だったら、というのは俺の方だよ。郁実、もし怖かったり嫌だったりしたら、すぐ言いなよ?」 「はい……」

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