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第五章・4

 嫌になる、なんてはずはない。  ずっと、憧れのお兄さんのようだった颯真さん。  ようやく、抱いてもらえるんだ。  でもこれで、恋人になったつもりではない郁実だった。  控え目な彼はまだ、颯真と自分では釣り合わない、と考えていたから。  しかし、そんな想いはどんどん溶けて流れてゆく。  颯真が、郁実の身体にキスを始めたのだ。 「あぁ……」  切ない声に、颯真はのぼせ上った。  耳をたっぷりと食み、首筋にキスを落とす。  華奢な鎖骨を舐め、胸の乳首に唇を当てる。 「あ! あぁんッ!」 「胸、弱いんだね」

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