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第六章・9
「ドラマでは、こんなに硬派なクールガイなのに」
颯真の入浴中、郁実は彼が主演の番組を見ていた。
『正義か。そんなもの、この世にありはしない』
そして、悪を撃ち抜く一匹狼の始末屋。
理不尽に陥れられた人間の依頼を受け、悪を屠る男を、颯真は演じていた。
「カッコいいなぁ、颯真さん」
『一緒に入ろうよ~♪』
お風呂に誘う、お茶目な男と同一人物とは、とても思えない。
どっちが本当の颯真さんなんだろう。
「たぶん、どっちも、だな」
「郁実~、お風呂空いたよ~」
間の抜けた声に、郁実は笑った。
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