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第六章・14
「あぁ、郁実。もういいよ。これ以上やってもらうと、出ちゃいそうだ」
颯真の言葉に、郁実は口を離した。
手は添えたままに、上目遣いで問うてくる。
「あの。悦かった……、ですか?」
あぁ、もう!
可愛いなぁ、郁実クンは!
「すっごく、気持ち悦かったよ」
セックスの最中に、こんなにお喋りすることなんて、これまでなかった。
ただ、互いの欲望のままに、心を、身体を貪り合っていた。
それだけ、郁実が大切だから。
郁実を大事に想っているから。
郁実が俺を、お喋りにさせる。
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