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第七章・5

「ただいま」  と、言っても、返事があるわけじゃない。  今夜も、一人。  颯真は、一週間帰ってこないのだ。  こんな日は、傍に居て欲しかった。  ただ、寄り添ってくれるだけでいい。  それだけで、満ち足りた気持ちになれるのだから。  郁実は、壁に掛けたカレンダーに、×印を付けた。  今日で、5日目。  あと2日で、颯真さんが帰って来るんだ。 「颯真さん、早く帰って来て……」  そして、僕を抱きしめて。

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