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第七章・6

 淋しい時には、颯真の出演するドラマや映画のディスクを観る。  ただし、恋愛ものはNG。  演技とはいえ、颯真が自分以外の人間と愛し合っている姿は、見たくなかった。 「今収録してる映画って、どんなのだろう」  恋愛ものかな。  だったら、嫌だな。  仕事は選ばない主義の、颯真だ。  僕がいても、そうなのかな。 「僕とキスした翌日に、仕事で他の人とキスしたり、するのかな」  ああ、もうダメ! 「……マイナス思考に陥ってる」  郁実は思いきって疲れた体を起こし、シャワーを浴びた。  今日の疲れを全て落としてしまうつもりで、熱いシャワーを勢いよく浴びた。

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