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第七章・7

 バスルームから出ると、リビングから物音がした。 「え?」  今この部屋には、誰もいないはずなのに。 「まさか、泥棒?」  鉄壁のセキュリティを誇るこのマンションに、侵入者が?  念のため、バスタイルを磨くための柄付きブラシを手にして、郁実はそっと進んだ。  侵入者は、堂々とソファに座ってくつろいでいた。 「颯真さん!?」 「ただいま、郁実」  帰宅は2日後だったはずじゃ!? 「ちょっと監督と揉めちゃって。帰ってきちゃった」  そんな、と郁実はソファに寄った。

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