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第七章・13

「店長、今日は何だかご機嫌でしたね」 「そうですか?」  思い当たるふしは、あり過ぎる。 『お父さんの喪が明けたら、結婚しよう』  そう言ってくれた、颯真さん。  昨日、僕たちは婚約した。  今度の休みに、婚約指輪を二人で選びに行く約束をした。    その歓びを反芻しながら、今日一日を過ごしたのだ。  周囲は、普段の3倍は笑顔だった僕に、驚き呆れただろう。

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