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第七章・15

「何なに?」  好奇心旺盛な佐藤は、交通事故が起きたと思われる現場へ走った。  すでに人垣ができていて、なかなか見えない。 「君、しっかりして!」 「意識、ありますか!?」 「跳ねた車が、逃げたぞ!」 「何ッ!?」  酷い修羅場だ、と佐藤が退いたところで人垣が崩れ、倒れている被害者が見えた。  え?  待って?  あの服は……!? 「ちょっと、どいてください。どいて!」  無理やり体をねじ込み、佐藤は人垣の最前列へ出た。 「店長!」  そこには、血を流して倒れている郁実の姿があった。

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