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第九章 リピートする恋
「郁実、がんばれ! ほら、もうすぐだ。ここまで来たら、後でご褒美をあげるぞ!」
病院のリハビリ室で、郁実がゆっくりゆっくり歩く。
歩く先には、颯真がいる。
「到着~!」
胸に倒れ込んだ郁実を、颯真はしっかりと抱きとめた。
「五条さん。僕、歩けました!」
「頑張ったもんな、郁実は」
よしよし、と頭をぐりぐりした。
「ふふふ。父さんみたいです」
(父さん、か)
俺と君は、恋人同士だったんだぜ?
まだ、そう告げられずにいた颯真だった。
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