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第九章・2

 移動に食事、そして入浴。  郁実の生活の全てを、颯真はサポートしていた。 「郁実、足はどう? 痛まない?」 「ちょっと痺れてるけど、大丈夫です」  マンションの中では、車椅子だった郁実。  だが、もう今からは歩く、と言い出した。 「何かにつかまりながらだったら、平気だと思うんです」 「心配だなぁ」  近いうちに手すりなどを付けて、バリアフリールームにするから。  だから、それまでは無理しないで。  そう、颯真は郁実をなだめた。 「早く、一人で何でもできるようになりたいな」 「焦らないで。転倒でもしたら、また一からやり直しだよ」

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