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第九章・6

 五条さんが好き。  大好き。  優しくて、頼りになって、いつも僕を温かく包んでくれて。 「……きです」 「え?」 「ごめんなさい。僕、五条さんのことが好きなんです。好きになっちゃったんです」  郁実。  ああ、郁実。  ありがとう。 「君は、もう一度俺を選んでくれたんだね」  真っ赤になって下を向いている郁実の肩を、颯真は抱いた。 「俺が今好きな人も、郁実なんだよ」 「五条さん!?」  

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