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第九章・7

「好きだ、郁実。愛してる」 「五条、さん……」  あの、と郁実が小さな声で囁いた。 「リハビリの時の約束、覚えてますか?」 『後でご褒美をあげるぞ!』 「覚えてるよ」 「僕、ご褒美に欲しいものが」 「解ってるさ」  颯真の顔が、唇が、郁実に近づく。 「これからは、颯真、って呼んでくれ」 「颯真さん」  静かに、ゆっくりと颯真は郁実にキスをした。

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