141 / 142

第九章・15

「郁実?」 「颯真さん……、僕なんかでも、いいんですか?」 「君が、いいんだよ」  プロポーズ、受けてくれるね?  喫茶店のスタッフが、息を詰めて見守っている。  ああ、時が止まったよう。  少しだけ、いや、大いに照れて、郁実は返事をした。 「はい。今後とも、よろしくお願いします」  店内は、大きな拍手で包まれた。 「おめでとうございます!」 「おめでとう、店長!」 「今すぐ、婚約指輪選びに行ってもいいですよ!」  ありがとう。  ありがとう、みんな。

ともだちにシェアしよう!