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「俺が知ってるやつは、俳優でも裏方でも、自分の道をきらきらさせてるやつが多いよ。だから、なんとなく宇宙みたいだよなっていつも思う」  彼の目に、この世界はどんなふうに見えているんだろう。  自分のそれとは、どうしても絶対に違う。 (宇宙)  無限の広がりの中、呆れるほどたくさんの光に彩られている。──夏の夜の、大きすぎる星空みたいに。 「縦横無尽、どっちが空でどっちが地面かってこともそいつ次第、マジであっちこっちに向かって道が走ってて、行き先がまったく違ったり、少しは似てたりしながら、みんな自分だけの星を追いかけてる」 「……星……」  暗い空にただひとつ、輝く光。 「人生なんてさ、そんな楽しいもんじゃないだろ。楽して生きてるやつもいないって、俺は思うよ。それでも自分のために光ってる星があるって、そんなふうに信じられれば、歯を食いしばってでも前へ進むし、同じように頑張ってるやつとわかり合えることもあるし、たまには星が微笑んでくれる日もある」 「続木さんが……そんなふうに言うの、意外です」 「顔と運の良さだけでラクラク人生やってそう、って?」 「……そこまでは言いません、けど」  自分と彼を比べること自体、間違っている。わかっていても、心になんの卑屈さも抱えずに「本当だ、おんなじですね!」と笑うことなんて不可能だった。 「オレがもう少し……例えばちゃんと続木さんを知って、すごく努力をしているところだとか、意地が悪いですけど叶えられなかった夢の話とかがわかるようになれば、もしかしたら、また違う気持ちで聞けるのかもしれないです……」 「高橋章太、俺が嫌い説」 「えっ……」  章太は驚きのあまり、次の声すら出せず、ぶんぶんと首を横に振る。たしかに、特別にファンだ憧れだと思ったことはないものの、まさか本人を前にしながらそれを主張するほどのマイナス感情を抱いたことなどない。  頭ひとつでは足らず、空いた両手まで振りたくって否定のジェスチャーに徹する章太を見て、俳優は満足したように笑った。

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